揺れる市の景観行政!特別景観形成地区範囲拡大へ!


 小樽市の歴史的建造物の石造り倉庫群に隣接してニョキニョキと建ち上がる高層マンションが、市の景観行政を大きく揺らしている。
 市の観光名所小樽運河沿いに建つ、運河プラザ、博物館、大家倉庫などの石造り倉庫群は、かつて北海道の物流拠点としての小樽を象徴する歴史的建造物で、他市にはない景観を醸し出している。市は、この地区の景観を守るべく条例により特別景観形成地区に指定していた。
 しかし、この指定区域に隣接した指定外の地区に、13階建高さ40m、15階建高さ44.6mの高層マンション2棟の建築確認を市が下ろしており、現在、完成を目指し工事中だ。このニョキニョキと建ち上がる高層マンションで、付近の景観が壊されると、衝撃を受けたのは小樽運河保存運動を進めてきた「小樽再生フォーラム」などの関係者たち。
 このため、小樽再生フォーラム(篠崎恒夫代表)は、「マンション建設により、街角における空間が塞がれ、運河と倉庫の佇まいが、山並みと調和している眺望を、無機質な固まりが遮ることになる」として、付近の景観にマッチしたデザインで仕上がるよう熱望する要望書を、市と業者に送っていた。
 小樽市では、従来より、特別景観形成地区指定の範囲拡大を図ることにし、そのための検討を行ってきた。このたびその案が公表され、従来の指定区域約 79.3haに、新たに約 52.3haを加え、合計約131.6haとすることにした。
 市は、この特別景観形成地区指定の範囲拡大に伴う、指定予定地区内の住民や地権者を対象とした住民説明会を10月31日(月)から9日間にわたって開催することにしている。しかし、建築確認済みの2棟の他に、現在でも指定予定地区内では、高層マンションなどの計画がすでに明らかになっており、市とも協議中だ。
 このため、後手後手に回った感の否めない今回の特別景観形成地区指定の範囲拡大が、どこまで駆け込み申請を防げるかに、市の景観行政の行方が問われることとなった。また、住民説明会の行方についても注目されることになった。

住民説明会日程

10月31日(月)

いなきたコミュニティセンター(稲穗5-10-1)

11月2日(水)

運河プラザ3番庫(色内2-1-20)

11月7日(月)

いなきたコミュニティセンター(稲穗5-10-1)

11月10日(木)

市分庁舎1階研修室(色内1-9-5)

11月11日(金)

運河プラザ3番庫(色内2-1-20)

11月15日(火)・16日(水)・17日(木)・18日(金)

市分庁舎1階研修室(色内1-9-5)

 2,000人以上の指定予定地区内の住民並びに地権者に対する説明会が9日間開かれる。13:00と18:30の1日2回、約30分程度の予定。

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 指定予定図