バッタ捕りの夢を集大成!高島の大黒さん、手作り昆虫図鑑を完成!


bug2.jpg 子供の頃からのバッタ捕りの夢を、76歳ながらパソコンを駆使したデジタル編集で、一冊の本に集大成した「小樽の鳴く虫」(大黒昭著)がこのほど完成し、小樽市教育委員会へ贈呈された。
 「小樽の鳴く虫」は、バッタやキリギリス、コオロギなど小樽市内に生息する昆虫33種類が集約されたB5版・全50ページの小冊子。パソコンのPower Mac G4(パワーマック)やスキャナー、プリンターを駆使して、文章から写真撮影・編集、製本までを、たったひとりの手作業で行った文字通りの手作り昆虫図鑑。
 市内高島2丁目在住の大黒昭さん(76)は、小樽市内の小学校の教員を長く勤め、退職後も郷土高島の歴史・文化や自然に関心を持ち続けるとともに、パソコンの技術を習得。IT技術を駆使して、これまで600ページに及ぶ「自分史」や、500ページを超す郷土史「新高島町史・改訂増補版」を完成してきた努力家。
 虫捕りはバッタ捕りから始めたという大黒さん。地元高島には、鳴き声の違う3種類のコオロギが棲んでおり、教員として小学校に勤めるようになってから、鳴く虫の名前を調べ始めた。
 1961(昭和36)年から、「小樽むしの会」に参加し、鳴く虫の音の録音を始めた。最初は、学校の放送室のスタジオに飼育ケースを持ち込み、オープンデッキで記録していた。その後、ガンマイクや録音機を揃え、鳴く虫のライブラリー作りに取り掛かった。当時、印刷はガリ版で写真などが入れられないため、定年退職後にパソコンを導入し、独自で資料をまとめた。
bug1.jpg 「市販の昆虫図鑑では、チョウや甲虫類の研究者が多いため、多くの種類が詳しく書かれているが、バッタ目についてはさみしいものが多い」と、様々な昆虫図鑑やホームページを参考にして、「虫好きでバッタ捕りの大好きな子供たちに読んでもらいたい」と、昨年8月から編集を始めた。印刷から製本までひとりで行い、この9月に完成した。大黒さんの子供の頃からの夢がぎっしり詰まった小冊子ながら足掛け45年をかけた労作。
 虫はなぜ鳴く、発音の仕組み、オシロスコープで見た音色、バッタ・キリギリス・コオロギの違いから各種の解説と分類、検索までが、各ページに入った写真とともに詳細に書かれている。
 鳴く虫のセミ・キリギリス・コオロギなどはすべて雄で、交尾するために雌に信号を送っている。春に小鳥がさえずるのと同じで、雌へのラブコールであるという説明文と、大黒さんがイラストレーターで作成したハートマークつきの可愛いイラストも掲載されている。これまで集めてきた虫の鳴き声は、パソコンの専用ソフトを使用して波形にしてあり、普通に鳴いている時、雌が側に来た時、雄が側に来た時などの違いが簡単に分かる工夫が凝らしてある。
 この図鑑には、小樽市内に生息する33種類のバッタ目の昆虫など34種類が納まっているが、「あと2種類集めれば、北海道に生息するバッタ目の昆虫図鑑が出来たんだよね」という。
 大黒さんは、「小樽の鳴く虫」の上製本を「今の子供たちの役に少しでも立てられれば」と、市内の27小学校へ配布するため、9月7日(木)に小樽市教育委員会へ寄贈した。市教委では、「子供たちの目に触れられるようなところで、身近に感じてもらえれば」と、教材として使用されるように早速校長会議に話を出すことにしており、市内の子供たちの目に触れる日も近い。

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