今シーズンの利用者ゼロ!使われぬ望洋シャンツェ

boyo.jpg 約13億円の巨費を投じて1998(平成10)年に完成した「小樽市望洋シャンツェ」(朝里川温泉1)が、今シーズンの利用者がゼロの見込みで、使われぬまま巨体を雪の中に埋めている。



 「小樽市望洋シャンツェ」は、ノーマルヒルジャンプ台(K=80m)で、電動リフトやハウスを完備する。完成した1998(平成10)年度には、第54回みなとおたる国体が開かれ、5,267人の利用者を数えた。翌1999(平成11)年度には大会が一度も開かれず、近隣小学校の夏期の遠足利用の255人しか利用せず、390万円の管理経費だけを支払っていた。
 2000(平成12)年度から2004(平成16)年度までは、北海道スキー選手権大会や全道高校スキー大会、スノーワンダーランドが開催された。大会開催経費や準備費、大会補助金、リフト保守点検、機械整備費などで、毎年度389~476万円の管理経費が発生していた。市では、2004(平成16)年度からは、機械警備の削減と、リフト維持管理警備費を大会主催者に負担してもらうことで、約200万円の管理経費を節減した。
 2005(平成17)年度は大会が開かれなかった。スノーワンダーランド開催のためだけに除雪費約100万円を負担することも出来ず、大口スポンサーが見つからなかったため、毎年好評を博していたこの冬のイベントも中止となった。2005(平成17)年度の利用者は、夏期の遠足利用の子供たちのたった105人で、約150万円もの経費がかかった。
 2006(平成18)年度には、再び、北海道スキー選手権が開催され、利用者は408人となったが、雪の重みでリフト電動ハウス屋根が壊れ、修繕費に200万円かかり、管理経費は327万円に増えた。小樽市では、北海道スキー選手権の誘致を続けてきたが、ひっ迫する市の財政状況から、大会経費や補助金などが出せなくなり、2006(平成18)年度の小樽開催以降は、札幌や旭川、名寄での輪番制となった。
 2007(平成19)年度では、シーズン中の大会やイベントの予定もなく、利用者ゼロの見込みだが、管理経費は約100万円かかる。
 建設費約9億円、用地取得約4億円の計約13億円の巨費をかけて建設された巨大ジャンプ台は、市の財政難のため、大会も開催出来ず、これから冬のオンシーズンになるにもかかわず利用者ゼロとなる。小樽市の税金の無駄遣いの象徴として、望洋の高台で雪を被ってひっそりと冬眠することになる。
 小樽市教育委員会生涯スポーツ課では、「オンシーズンだけでなく、通年通して利用出来るように考えている。冬は、歩くスキーやモービル、夏はキャンプ場としての利用が出来れば良いなと思っている。利用者を増やすために、関係機関と考慮中だが、来年度には、スノーワンダーランドのような催しが出来れば良いと考えている。お金をかけてつくったものだから、それなりの時期に使われるような施設にしたい。無駄にあるとは思われないように努めたい。出来てしまっているので後戻りは出来ない。何か使っていかなければいけない」としている。
boyo.jpg また、望洋シャンツェに隣にある望洋サッカー・ラグビー場も維持経費がかかり、市の財政を圧迫している。サッカー・ラグビー場は、総事業費12億5,000万円かけて2005(平成17)年に完成した。芝コート(100m×150m)2面とクレー(土)1面の計3面のサッカー・ラグビーのグランドが30,000平方メートルに並ぶ。
 完成してから3年で、利用者数36,042人(9月末現在)に対し約4,100万円もの管理経費がかかっている。これは、主に、芝コートの維持経費で、2005(平成17)年度に1,672万円、2006(平成18)年度に1,338万円、2007(平成19)年度に1,082万円(9月末現在)が使われている。
 2面ある芝コートは、1回使用すると、約2週間の養生期間が必要で、この間は一切使用出来ない。6月から10月までの利用は、土日・祝日が大半となっている。
 新谷前市長が建てた13億円のシャンツェも、山田現市長が建てた12億5,000円のサッカー・ラグビー場も、“日本一の貧乏都市”の小樽市にとっては、身分を弁えぬ贅沢な施設となっている。小樽市民にとって、利用されない山の中の施設に巨費をかけた歴代市政の税金の無駄遣いが、大きな重荷となってきている。
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