小樽に舞う雪虫 冬の使者・雪の妖精の到来

 冬の到来を告げる雪の妖精「雪虫(ユキムシ)」が、早くも小樽の秋の空をフワフワ飛んでいる。小さな体に白い綿をまとい、風になびいて小樽の街を流れ、市民に冬の到来を予感させている。
 約1週間前から、市内各所にユキムシが姿を見せ始めている。長橋なえぼ公園(幸い1)では、10日(金)、無数のユキムシがフワフワ園内に浮かんでいた。
 目の中に飛び込んできたり、瞬きをするとまぶたに挟まったり、大きく呼吸をすると鼻の中にも入ってくる。散歩している市民は「遠くから見ると、本当に雪が降っているみたい。もう初雪の季節かしら」。
 「ユキムシ」(トドノネオオワタムシ)は、カメムシ目アブラムシ科の最大4mmの昆虫。北海道から本州、シベリアに生息し、道内には10数種類いるという。
 季節によってトドマツとヤチダモとを行き来して、樹液を吸って生活する。春は、ヤチダモ類の葉の裏に棲み、5月頃に多数のメスを産む。1匹のユキムシから何百匹の子供が産まれる。成虫になると、7月頃にトドマツに移動して卵を産んで木の根元で生活し、綿(蝋状の物質)をつけてユキムシになる。10月から12月に、トドマツからヤチダモを目指して飛ぶ。
 北国・北海道では、冬の到来を告げる冬の使者・雪の妖精とも呼ばれる。「ユキムシがきたら2週間後には初雪が降る」とも言われている。
 「ユキムシは力が弱く、風を受けてフワフワ飛べるように綿をつけている。初雪が降る時期に飛ぶけれども、この2週間後に雪が降るとは限らない」(市総合博物館・山本亜生学芸員)。
 ユキムシの到来で、小樽の季節は、確実に秋から冬に移り変わっている。