小樽から消える”うなぎ屋” 「多古寅花園店」20日に閉店

 小樽の街にわずかに残っていた、うなぎ店「多古寅花園店」(花園1)が、8月20日(木)に閉店することになった。同店の閉店は、小樽駅前にあり、昨年9月に閉店した同系列の「多古寅分店」(稲穂2)に次ぐものとなった。
 これにより、小樽では、生のうなぎを扱う”うなぎ屋”が次々に姿を消し、専門的なうなぎを食べるためには、市民は、札幌まで足を運ばなければならなくなった。
 8月20日(木)に閉店する「多古寅花園店」は、旧丸井今井店が建つ前に同所(稲穂1)にあった日本料理店「多古寅本店」の暖簾を受け継ぐ、うなぎ・おでんの店。約20年前に「多古寅本店」が店を閉めるにあたり、先代から道具と店の味を譲りうけて、従業員だった料理職人の大野さんが、夫婦で花園に19年前に開店した。
 椅子やカウンターに料理道具から、うなぎのタレとおでんのつゆも本店から持ち込んで、営業を開始した。特徴のある黒いつゆが染み込んだおでん種とふっくらとしたうなぎが人気を呼んだ。当時は、本店の関係者や常連客がひっきりなしにやって来て、寝る暇もない忙しさで、景気も良かったこともあり、大いに繁盛したと言う。
 しかし、7年前に夫を亡くしてからは、大野アイ子ママが女手一つで頑張ってきた。近年は、常連客も高齢し、小樽経済の衰退とともに、客足が大幅に減り、売り上げも伸び悩むようになった。
 「特に、丸井今井の撤退以後は、買い物ついでに食事に寄る客もなくなり、ばったりと客足が途絶えた。今では、花園に人の気配もない。死ぬまで頑張ってやれと常連から言われるが、女手ひとつでは、もうとても無理。店を閉めると言ったら、客がわんさかと来るが、来るのがもうすでに遅いって言うの」と、土用の丑の時期を終えた20日に閉店することになった。