帝銀事件の平沢元死刑囚遺作など67点 美術館企画展


hirasawa.jpg 市立小樽美術館(色内1)は、小樽の水彩画の流れと時代的な背景を探る企画展「小樽・水彩画の潮流 平沢貞通・埋もれた画業の発掘」を、2月27日(土)から開いている。
 同館は、1948(昭和23)年の「帝銀事件」で無実を訴えながら獄死した小樽育ちの平沢貞通元死刑囚の遺作をはじめ、繁野三郎、宮崎信吉、板倉力蔵、中島鉄雄、森田正世代、鈴木儀市、大和屋巌、氏家和夫、坂東義秋、白江正夫、高橋好子、笹川誠吉の12人の画家の全67作品を紹介し、小樽の水彩画の時代背景をたどる。
 展示する平沢死刑囚の作品は、逮捕前の大正時代に描かれた「赤松と海」、「竹林」、「寒き朝」など31点。帝銀事件再審請求人で養子の武彦さん(51・東京)が、20年かけて探し求めた。
 「平沢が闇に葬られたように、絵に灯があたっていなかった。再評価を求めて絵を収集してきて、逮捕前の百十数点のうち所在が分かったのは十数点。今回見つかった絵を公的な美術館で展示されることは非常に画期的なこと」(武彦さん)。
 「小樽画壇における水彩画の層は厚い。そのきっかけをつくったのは、平沢貞通が1914(大正3)年に設立した日本水彩画会研究所小樽支部に始まる。中央の著名画家と接点をもっていた平沢によって、まず種が蒔かれた。小樽の水彩画の流れと時代的な背景をさぐり、その発展に重要な役割を担った多彩な顔ぶれを実作品により見直していく」(同館)としている。
 透明水彩技法で描かれたみずみずしい作品や、透明・不透明にこだわらない重厚な作品など、多彩な作品が並ぶ。5月9日(日)まで。入館料:一般300円、高校生・70歳以上の市内在住者150円、中学生以下無料。