「高田紅果の青春 芸術都市・小樽のコーディネーター」 小樽文学館


takadakouka.JPG 市立小樽文学館(色内1)は、6月5日(土)から、芸術都市・小樽のコーディネーター高田紅果を紹介する特別展を開いている。
 小樽出身の高田紅果(1891~1955)は、少年期に石川啄木に傾倒した歌人として知られている。石川啄木の来樽時には、友人と二人で会いに行ったことも。晩年には、小樽啄木会会長として、啄木歌碑建立に尽力した。
 小樽の文学青年と絵画青年とを結びつけ、同人誌グループ「白夜会」を結成。小樽で、絵画展覧会などのイベント開催を推進。文芸雑誌も次々に創刊した。経済学者・小説家の早川三代治と協力して、有島武郎の講演会を行った。岩内の画家・木田金次郎とも親交を結び、船樹忠三郎らと美術団体「小樽縁人会」を結成し、広域にわたる美術活動を展開。音楽会や文化講演会など、小樽を舞台に盛んに文化活動を行った。
 同館は、「高田紅果こそは、大正時代の小樽の文化・芸術活動における、優れたコーディネーター(調整者)であったといえよう」と評価する。
 特別展「高田紅果の青春 芸術都市・小樽のコーディネーター」では、当時の雑誌や新聞記事、親友の早川三代治が所持していた紅果書簡、木田書簡など100点展示する。これらの資料を通じて、大正期の青春、青春期の小樽の生き生きとした息吹を伝えたいとしている。
 5日(土)、同館を訪れた早川三代治の息子・治男さん(78)は、「父は、木田さんとお付き合いさせてもらっていた。感慨深く資料を見ている。当時、小樽が中心で文化や芸術活動が起きていた。今は札幌だが大変なことだった。商都に合わせた文化活動に改めて感心している」と資料に目を向けていた。写真を眺めた際には、「僕と父と似てますか」とも。
 高田紅果の知られざる事績を多面的に紹介する同展は、8月1日(日)まで。入館料:一般300円、70歳以上の市内在住者・高校生150円、中学生以下無料。問合せ:0134-32-2388
 7月17日(土)14:00から同館第1研修室で、近代文学研究者・亀井志乃さんによる関連講座「高田紅果―後志に架ける友情の橋―」が行われる。