介護保険交付金の減額問題 市議会で批判相次ぐ


kaigohoken1.jpg 「高額療養費の問題が出ている中、認識と危機感が足りない」。「緊張感を持って仕事をしてもらいたい」。「残念だ」。
 小樽市職員の作業ミスで介護保険交付額が7,200万円減額された問題で、6月25日(金)13:00から市役所別館で、臨時の市議会厚生常任委員会が開かれ、各会派の議員から、批判が相次いだ。
 これは、国の「介護給付費財政調整交付金」で、市の担当職員が、介護保険料の段階区分を誤って報告したため、本来の交付額より7,190万円の不足額が生じた。
 ミスが判明したのは2月で、ちょうど職員の職務怠慢で高額療養費に6,300万円の未請求問題も発覚した時期と重なっていた。しかし、報告は課長までしかされず、担当レベルで解決を行おうとしていた。国の救済措置には、市民やマスコミへの報告が必要であったため、4ヶ月経った6月18日(金)に記者会見を開き、渋々事実を報告した。
 この4ヶ月遅れの報告に、市議会から、「高額療養費の大問題を審議している中で起っていた。何のための議論だったのか」、「市民に対して、緊張感を持って仕事をしてもらいたい」との声が上がっていた。
 同常任委の冒頭、担当の志久旭医療保険部長は、事実経過を報告し、「事務的なミスに加え、報告が遅れたことで、市民の信頼を損ねたことをお詫び申し上げる」と陳謝した。
 厚生労働省では、他の自治体でも同様のミスがあったことから、2010(平成22)年度の特別調整交付金で、その7割を上限に補填する制度を設けており、市は、この交付金を受けるため、国に申請を行うことにしている。
kaigohoken2.jpg 山田勝麿市長は、「今回の件では、大変申し訳なく思っております。話を聞いて、救済がなんで7割か、なんで10割ではないのか疑問があったものですから、別件で厚生労働省に行った時に、担当課長に聞いてきました。単純なミスなんだから全額清算してくれ、3割カットはペナルティかと話をした。介護保険は、3年間の契約期間ですから、その中で整理されてもいいのではと言ったが、向こうは、普通調整交付金は単年度でやるもので、あくまでも単年度で処理する。特別調整交付金は、本来災害の時に8割を補填しましょうというもので、厚生労働省も内閣府と意見調整し、災害とミスと同列に扱えないというのが、向こうの論理です。数字の確認についても、都道府県を通じてやって修正がないというのならそれを信用してやるという。それはその通りで、制度の問題として提起しないといけないと思う。向こうの言っていることも分からないこともないので、ギリギリの判断で7割の補填は、一定程度評価している。
 私も話を聞いて、なんでこんなことが起きるのかと思った。一体どうなっているのかというのが印象。いつも「ほうれんそう」という言葉を使っているが、報告、連絡、相談を頭にたたきこめと言っている。口酸っぱく言っているが、中々徹底していない。残念に思う。仕事に対する緊張感がないのかなと思いますし、公務員のプロとしての意識もない。職員間でのコミュニケーションもなかった。仕事内容を熟知していないのも問題。当面、全課に仕事の中身を総点検するよう指示しており、問題があれば是正したい。問題が発生した時の対応の仕方を良く徹底していきたい」と、共産党の中島麗子議員の質問に答えた。
 志久医療保険部長は、「3割は、平成21年度の決算として出るが、21年度では黒字で、歳入が少なくなるということになる。小樽市を含め全国13市町、広域連合で、同様のミスがあった。これについては、厚生労働省では、7割の補填をする。これは6月末に申請する。とにかく7割分を頂くことに全力を傾ける。残りの分は、13市町の動きがあるので、取組みを進めていきたい。災害が発生しないで特別調整交付金に余りが出た場合は、他に回せることになっているので、今のところ13市町なので、気持ちの中では、この分の何割かは対応はしてもらえるかなと思っている」とした。
 介護保険は、3年ごとに自治体の保険料や事業計画などを見直すことが定められており、現在の第4期小樽市介護保険事業計画は、 2009(平成21)年度から2011(平成23)年度までとなっている。
 7,200万円のうち7割が国から補填され、残りの不足額が2,100万円となった場合、2009(平成21)年度末での介護保険給付費準備基金は4億 7,000万円の残高となっており、同年度の介護保険特別会計には影響がないとしている。しかし、その基金も市民の介護保険料を積み重ねたものであって、「市民の理解が得られるのか」(公明党・千葉美幸議員)との指摘がある。
 市では、「類似の補填の方法を参考にしながら、2011(平成23)年度の中で対応をしなければいけない」としている。
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