岐路に立つ2011の小樽市 問われる市長・市議選


 2011年の幕が切って落とされた。
 今年は、統一地方選の年。小樽でも、知事・道議選(4月10日投開票)、市長・市議選(4月24日投開票)が実施される。
 これまでの小樽市政は、新谷昌明・山田勝麿市政のそれぞれ3期12年の計24年間、役人市長の”統治”で進んできた。
 新谷市政は、最後のバブルに踊って借金に次ぐ借金を重ね、大型建設事業に邁進し、市債(借金)残高を就任当時の603億円から、820億円をもプラスして、1,423億円までの巨額に膨らませた。
 山田市政は、この巨額借金の下で、財政運営に四苦八苦し、2004(平成16)年度には一般会計で27年ぶりの赤字決算に陥り、財政破綻を導いた。年度末の赤字を次年度の歳入予算から穴埋めするカラ財源頼りの繰上充用を6年間も繰り返し、他会計や基金からの借金を続け、財政をスッカラカンの状態に陥らせた。
 この間、何ら有効な雇用創出も出来ず、著しい人口の減少を招いた。前新谷市長就任時の1986(昭和61)年の約174,000人から現在の約132,000人まで、42,000人も減少した。結果、小樽の経済の衰退を加速させ、2010(平成22)年4月には、ついに小樽市を過疎地に指定させた。
 象徴的な存在となったのが、新谷市政のマイカル建設と山田市政の新病院建設が頓挫した築港地区だ。
 役人市長は、150億円の市費を投入し、築港地区のマイカル小樽(現ウイングベイ小樽)の巨大商業施設を建設。わずか2年でマイカルが破綻し、予定した固定資産税も入らず、約15億円(2008年4月時点)もの滞納額が積み重なっている。そのマイカルも現在では、空きスペースだらけで、巨大コンクリートの抜け殻となっている。
 役人市長は、マイカル建設で、中心商店街との共存共栄を打ち出していたが、二兎追うものは一兎も得ずで、マイカルも中心商店街も共に火が消えた状態だ。中心商店街のランドマーク的存在だった丸井今井小樽店と小樽グランドホテルの破綻で、中心商業施設は幽霊ビルとなり、小樽の暗い昨今の経済を象徴している。
 これらの惨憺たる事態を招きながらも、何らの責任も取らない、無責任な役人市長のリーダーシップの無い24年間の結果が、小樽の衰退を招いたことは明白だ。この無責任な市政を長年にわたって支えてきたのが、自民・公明・民主の大連立によるオール与党体制の市議会だ。市政のチェックを十分に果たせず、ただ市長のイエスマン的存在に成り下がっていた市議会議員の責任も極めて大きなものがある。
 今年は、統一地方選の年で、この街の市政を担う市長と市議選が行われる。山田市政の築港地区での新病院建設の失敗は、住民訴訟での札幌地裁判決で、「市議会や市長の判断の不当性は納得できる」と認定された。市長と市議会の判断が不当だったことが、司法の場でも、指摘されたことは、極めて大きな意義がある。
 様々な場面で、市長と市議会が、正当な判断を行っていれば、小樽の街がこれほど寂れる事態は避けられ、過疎地などになることは、決してなかったであろう。
 この意味からも、4月に行われる小樽の市長・市議選の結果が注目されることになる。右肩下がりに小樽を衰退させた勢力の統治を認め続けるのか、衰退する小樽を止め、過疎地を脱出し、新しい小樽を創る市民の力が生まれ育つのかが、今年、問われている。
 新谷・山田市政で失われた小樽の24年間を、誰が取り戻すことができるのか。
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