「行政が本気でやること!」 小樽 食と観光フォーラム


syokutokankou.JPG 2011年度地域活性化伝道師派遣事業「小樽 食と観光フォーラム」が、10月20日(木)15:00~17:00、小樽経済センタービル4階ホール(稲穂2)で開かれた。
 道の駅「萩しーまーと」開業に携わり、萩の金太郎など地魚のブランディングを進め、首都圏での販売チャンネルを積極的に開拓する同駅長(専務理事)の中澤 さかな氏(54)を講師に招き、「食と観光のビジネス展開についてアドバイスを頂き、小樽の自然と食の魅力を考える」ことが目的。
 中澤氏は、「全国的に見たときに、山口の萩と北海道の小樽は観光として知られている。町に知名度がある。萩も小樽もクオリティが高く、共通しているところがある。萩の人口は5万人、小樽は少なくなっていると言っても13万人。観光客数は145万人で、小樽は630万人と全然違う。萩は周囲に街がない。小樽 は200万人の札幌があり、マーケット的には有利。萩市の特徴的な事例がありますので参考にしてもらいたい。
 萩は、魚のうまい町。1800年代の地図が使える城下町で、戦後の経済減少の中、歴史遺産で食べてきた。観光客は最大で240万人来ていた。小樽では、観光客が運河だけみたらもう一回見に来ない。萩も歴史遺産を1回見たら来ない。歴史遺産で食ってしまったが、本当は食の魅力がある町。有名シェフからは食の宝庫とも言ってもらえる。歴史の陰に隠れていた。小樽も同じような状況にあるのかなと思う。まだ食が深堀されていない。
 萩には250種類の魚が獲れる。萩の郷土料理は江戸の殿様、漁師の家の料理が残っており、本1冊出来る。小樽もその気になって調べれば出てくると思う。それがあるかないかでは全然違う。
 食の観光の目玉にしようと、道の駅萩しーまーとを作った。すぐ港で市場に隣接しており、萩の魚、加工品を売っている。道の駅では、魚が美味しいと食の情報 発信基地に、食の開発基地にしようとした。3年で公設市場型道の駅モデルとして有名になっている。全国1000箇所の中で10位に入るようになった。よそ者は、その土地の持つ資源を客観的に見られる。それが役割。ずっとこの町に育った人には当たり前、これが新鮮だ。
 しーまーとでは、魚祭りを年6回開催し、大量で無料で食べてもらう企画を用意する。リーフレットをつくり地魚をPRする。ブランド化では、最初に取り組ん だのは、萩のまふぐ。萩市は、全国でダンタツNo.1の漁獲数で、安いが、目隠しして食べるとトラフグと変わらないぐらい美味しい。トラフグはほぼ養殖で、まふぐは全部天然。萩の定番料理として、宿泊施設で夜セットで出されるようになった。魚価も倍以上になった。目に見えて効果があり、非常に良い成功例 となった。次の年には、あまだいに取り組んだ。もともと魚価が高いもので、魚価を上げることは出来なかった。高いものを上げることは難しいと知った。
 PRでは、首都圏マーケットでの売り込みに取り組んだ。首都圏からの観光客が多いことから、魚を送り込んで、魚のうまい町をアピールしようとした。東京で食べて美味しいのだから、萩ではもっと美味しいと思ってもらい来てもらうということを行った。魚を徹底的に調べた。魚の名前を知ってもらえないと魚を買っ てもらえないので、宣伝に力を入れている。産官学でやっている。市役所も水産だけでなく、産業、観光、企画も入っている。複数の団体でワーキンググループ をつくり、加工品開発を行っている。20代から40代まで次代をになう人たちが入ってやっている。そしてアドバイザーが強力だ。プロのところに持っていっ て的確なアイディアをもらうようにする。
 町全体の動きにしたいので、市長に直談判し、市長匿名で選任のセクションをつくってもらった。5年期限で市の職員を出向してもらっている。兼務で4人の職員がいる。町単位で取り組む全国で例のないものとなった。行政が本気でやっていることが萩の特徴だ。
 全部が成功例ではなく、発展途上。結構、聞いてくれたら思うが、色々チャレンジしている。これを続けていけば萩を食の宝庫だと思ってもらう。しつこくやっ ていきたい。まずは、まちぐるみでやらないといけない。そしてチャレンジし続けること。国の助成金の制度が山のようにあるので、めんどくさい書類もあるが それは有効に使うべき。我々は60の事業を確保してやっている。萩の事例で、小樽の大きな動きのきっかけになれば嬉しい」と述べた。
 会場からの質疑応答では、市内加工品業者から、「小樽市がどんなビジョンを持っているのか示して欲しい。行政が本気でリーダーシップをとって頂ければ、市内の企業は協力する」との意見が出された。