大海に帰った水族館のジンベエザメ 祝津沖に放流



 おたる水族館(祝津3)では、9月17日(月)に余市沿岸でサケの定置網にかかったジンベエザメを、18日(火)から展示し、人工飼育に挑戦していた。秋分の日を含む連休には、大勢の見物客が押し寄せ賑わっていた。
 飼育係が潜水し、餌(オキアミ)を与えたが、捕獲してから何も食べない状態が続いていた。ジンベエザメ飼育経験のある水族館から、20〜24日くらいで餌を食べ始める例もあると聞いていたが、餌を食べないことで関係者を悩ませていた。
 同館では「搬入から現在まで、餌を与えて、飼育・餌付けに努力してまいりましたが、餌を食べる状況にはいたらず、まだ体力を残した状況で、放流することにいたしました」と、水温の暖かいうちの放流を決め、27日(木)早朝5:00から作業を行った。

 飼育係のダイバーがジンベエザメを網ですくい担架へ誘導し、ミニショベルカーに載せ台車へ。外にあるトラックの水の入ったコンテナに入れ、祝津漁港へ運んだ。ホタテ用の漁船を漁師の好意で出してもらい、クレーンで吊り上げ祝津沖5.2kmの海へ放流した。ジンベエザメは、最初は白い腹を見せ、直ぐに反転して元気に泳ぎ出した。一緒についてきたコバンザメ3匹(2匹と思われていたが、エラについていて3匹)も、後を追いかけるように泳ぎ、無事に海へ帰すことができた。
 石狩湾を南へ下り、ブリ・マグロも積丹を南下しているので、そのコースを辿るのではないかと思われ、また、魚群探知機には、大量のイワシの群れが確認できたので、無事に餌にありつけるのではないかと関係者は期待していた。
 同館川尻孝朗営業課長は「上手く飼育できれば良かったが、命には代えられない。短い期間だったが、あまり経験のできない飼育体験ができ、良かったと思う。多くの来館者にも喜んでもらった。26日(水)の日中の水温は24度、天候を考え放流を決定した。1〜2週間過ぎると寒くなり、今だったら海に戻れると考えた。海に放したジンベエザメは、尾びれを振り、深い海へ泳いでいった」と話していた。(写真・動画提供:おたる水族館)