新着生物"ユムシ"初展示 おたる水族館

 おたる水族館(祝津3)では、今回、1月11日(金)より、本館1階に「ユムシ」を初展示している。
 12月8日に石狩市浜益で、大しけの後、ユムシが多数海岸に打ち上げられたという報道記事をきっかけに、同館でも展示をと、小田誠館長自ら、入手先である仙台の釣具店を探し当て、2日間の輸送を経て、生きたままユムシが到着した。
 ユムシとは、環形動物門、もしくはユムシ動物門に属し、現在も明確に分類されていない生物。展示のユムシは東北産。鯛などの高級魚の釣りえさとして使用されている。
 水温10℃の水槽の中に砂を薄く敷き、18個体、大きい物で20cmほどあるユムシが体を寄せ合い横たわっている。
 砂地にL字型の穴を掘り、通年を通して生息。雌雄異体。卵を産む。デトリタス(海洋の有機堆積物。プランクトンなどの死骸や排泄物など)を食べる。同館では、まだ餌を与えていない。道内では「ルッツ」と呼ばれる。ミミズをアイヌ語で「ルッチ」と呼ぶところから来ているらしい。酢の物や刺身、しゃぶしゃぶで食べる。コリコリとした食感の珍味として喜ばれている。
 展示中のユムシは、顔らしい顔はなく、肌色のような物体が、伸びたり縮んだり、膨らんだり萎んだりと形を自由に変え見ていて飽きない。
 同館長は、「生きた生物の入手や扱いが難しいが、ユムシは、氷水状態の中で輸送され、元気に生きているので、扱いやすい生き物のようだ。不思議な生き物を展示し、多く方にこの機会に是非見てもらいたい」と話す。
 来館者の男性は、「12月に石狩浜でユムシが打ち上げられ多くの人が集まっていたのを見て、新聞でも見た。今回、水族館で展示され興味があった」と、珍しい生き物を見つめていた。2月末までの展示を予定している。
 冬期特別企画「冬 命の輝き サケ」のコーナーでは、10月26日に人口受精したサケの卵が、1月4日に孵化を始めた。約6℃の水槽に孵化したサケが元気に泳いでいる様子が見られる。孵化後、約1ヶ月間は親からもらった卵黄を栄養に育ち、卵黄を吸収した後、生まれた川の匂いを記憶に大海原へ旅立つ。