中松市政が任期折り返し!厳しい財政続く 定例記者会見


 中松義治小樽市長は、今月末の4月30日で任期の折り返しとなり、2年間を振り返り、また、今後の取り組みについて述べた。
 「就任前になるが、東日本大震災、福島原子力発電所の事故は、日本の社会経済に与えた影響は大きく、直後のゴールデンウイークの小樽において、観光客が激減した。外国人観光客がほとんど見当たらず、浅草橋街園、堺町通りなど観光客が少なかった。臨港線のバス駐車場でのバスも減り、緊急的な経済対策を行い、観光客回復回帰に努力した。ウエルカム事業や観光振興券交付事業を行い、9月に韓国へ10月に台湾へ、小樽の安全をPRした。現在、震災前に近いほどに回復している。
 福島原子力発電所の事故に関わる防災、原発に対する国民世論の高まりの中で、市民の安心安全である町作りに重要性を感じ、課題に取り組んだ。ハザードマップを作成し、避難所における防災行政無線の整備、防災備蓄品、放射線量の測定、北電と共に安全協定への締結に取り組んだ。当初、UPZの範囲外ということもあり、小樽市は必要ないという議論もあったが、市民が安心して暮らせる町作りという観点から、管内の町村会と協力し取り組んだ。
 新市立病院については、早く2つの病院を統合し新しい病院を作ることに取り組んだ。昨年3月と5月の入札が中止となり、8月の3回目の入札で成立。当初の計画通り、平成26年の秋口には開業したいと思う。
 稲一再開発の問題では、日本レーベルが取得し、先が見えてほっとしている。
 企業対策として、昨年東京でトップセミナーを行い、東洋水産や一正蒲鉾が新しい工場を建設し操業。横浜冷凍が、新たに道内一の冷凍施設の建設となり起工式が行われた。
 地場産業について、小樽産品のブランド化、地場産業の販路拡大を2年間進め、将来のために種をまいている状況。
0422mayer.jpg 就任直後、国土交通省の事業で、日本海側拠点港の事業がスタートし、小樽港の認定を国交省へ声をかけてきた。結果、京都の舞鶴、富山の伏見港、小樽港と3つ連携し、日本海側の拠点港へ認定された。合わせてクルーズ客船の誘致についても取り組んできた。昨年、クルーズ客船の寄港が20回で、小樽港としても記録を塗り替え、北海道の港としても5年連続小樽港がトップとなる。25年度については、現在17回寄港を予定している。来年には、アメリカのクルーズ会社プリンセスクルーズから20回を超える寄港の話があり、ホームポート(母港)として、神戸、横浜に続く3番目の港となる。来年は、20回を超える小樽港を発着とする定点クルーズが実施される予定。これからますます増やし、小樽に沢山の観光客がクルーズ船に乗って来ていただきたい。最近では10万トンを超えるクルーズ船が一般化しているので、そのためにも小樽埠頭の整備を行いたい。
 学校統廃合における校舎の新築改築工事、耐震補強工事にも積極的に取り組みたい。子どもが安心する環境作りが大事。共同調理場の新築工事は、今年8月に開始できると思う。さらに、認定こども園、保育所の整備など教育環境の整備、子育て支援の施策にも、将来小樽を担う子ども達への対応を積極的に進めたい。
 1番のポイントは、市の財政健全化は厳しい状況で、平成24年度、25年度予算の編成にあたっては、他会計や基金からの借り入れを無くして収支均衡させて予算を組むことができた。しかし、来年以降は、事業の見直し選択をしながら、財政に取り組みたい」 と述べた。
 「この2年間、公約にあげた部分については、なんとか課題に目途をつけることができたと思う。今後の2年間についても、財政、人口減少、地域経済の活性化、まだまだ課題が山積み。全力で取り組みたい。何よりも市民の皆さんと協同し、市民力をいただきながら共に元気のある町づくりに取り組んでいきたいと考える」 と締めくくった。
 その後の質疑応答では、
 記者:2年間厳しかったことや力を入れたことは?
 市長:小樽の人口が減少しているため、交流人口の観光客を増やしたいと考えたところ、震災があり、観光客が激減。ウエルカム事業、観光振興券等の財政措置を行った。震災前の状況に少し戻りほっとしている。
 記者:企業誘致についての今後の意気込みは?
 市長:経済の活性化、雇用の問題が人口増に繋がる。新しい企業に小樽へ来てもらうことが大事。既存企業へは雇用を増やす取り組みも必要。積極的に企業誘致に取り組み、企業訪問も行いたい。
 記者:新市立病院の役割について
 市長:市民の安心安全に繋がる市民のための市立病院。3月末で高齢化率33.6%となり、有病率が高く診療科目も多くなる。万が一病気になった時には治癒する役割が大事。
 記者:ハザードマップについて
 市長:高齢化が進む中、避難の取り組みなどに加え、個人情報の問題で情報が入りづらい。今後検討していきたい。万が一、災害があった場合、安全に避難できるように企業との連携を含めて体制を作りたい。
 記者:クルーズ船を受け入れる目玉事業について
 市長:埠頭を整備し、8万トンクラスの船を予定している。外国のクルーズ船では、入国審査に時間がかかるため、日本に船が着いた時には、すぐに下船できるような手続き体制をお願いしている。クルーズ船の中で、小樽の案内のメニューを6種類ほど用意して配布したい。25年度の予算の中で作成を予定している。将来的にはターミナルビルの建設を行いたいが、25、6年の予算では難しい」と答えた。