"成長期のスポーツ障害" スポーツドクターの市民公開講座


 北海道柔道整復師会小樽ブロック(小川哲司会長)では、市民公開講座を、11月2日(土)17:00から、小樽経済センター(稲穂2)4階で開催した。近郊の鍼灸師、市内のスポーツ団体・協会の選手、指導者ら100名が参加した。
1102rehabilitaion.jpg 同小樽ブロックは、作年から公益社団法人の認可を受け、公益事業の一環として「市民公開講座」を開催。今回は、日本体育協会公認スポーツドクター・冬季オリンピック日本選手団本部ドクターの渡邉耕太氏を講師に迎え、成長期のスポーツ障害について講演会を開いた。
 広く多くの市民に参加してもらうため、市内のスポーツ団体や小樽桜陽高校野球部などにも参加を呼びかけ、小学生から年配者まで幅広い年代のスポーツ愛好家達が集まった。
 渡邉氏は、平成5年札幌医科大学を卒業。膝・足・関節リウマチ・スポーツを専門とし、2009(平成21)年に、札幌医科大学医学部整形外科学講座講師に就任。2010(平成22)年バンクーバー冬季五輪日本選手団本部ドクター。2012(平成24)年から日本オリンピック委員会専任メディカルスタッフ。
 はじめに、成長期の特徴を具体例をあげスライドを用いて説明。年齢別での違いを指摘し、成長期に身長は伸びても、筋肉の成長が追いつかず、骨量も充分ではなく骨が弱くなる時期があるなど、成長期の体の特徴を説明した。
 小中高生の学校での負傷の活動別割合では、小学校は体育の時間で、中高は部活動中が多い。中高生の部活動の外傷では、1位は骨折、2位捻挫、3位打撲、部活動別では、バスケットボール、サッカー、バレーボールが多い。発生頻度では、ラグビー、バスケットボール、サッカーの順。スポーツ障害についていくつかの事例を上げ、障害と外傷とに分けて説明した。
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 中1男子バトミントン部、左膝前に痛み、レントゲン写真から突出があり、成長期の子どもに起こる骨端症の1つ「オスグット症」と診断。繰り返す牽引ストレスが原因であると説明した。
 また、腰の障害についても説明。成長期のスポーツ選手に見られる腰痛の「分離症」は疲労骨折が原因と考えられる。高1男子スピードスケート選手の事例を上げ、中2から腰痛があり、普通ならコルセットを3ヶ月着け半年間治療するが、このケースは、手術をして痛みがとれ、大学でもスケートを続けている。分離症は、早期発見が重要。腰椎伸展時に痛みがあれば、医療機関で診察を。予防として、筋肉の硬さをチェックしておく。
 一方の外傷では、捻挫、頭部外傷について説明し、意識障害を確認、頭部を打っていないからといって安心できない。経過を見るなど頭部外傷10カ条を上げた。
 「成長期は、各部の成長のスピードに違いがあり、怪我をしない体作りが競技力向上に繋がり、怪我をして回復するとレベルアップに繋がる」と締めくくった。
 その後の質疑応答で、「トレーニングで筋肉痛となり、そのまま練習を続けても良いか?」との小樽桜陽高校野球部員の質問に、渡邉氏は、「そのままにしておくと硬くなるので、ストレッチを多めに、セルフチェックを意識し、体の硬さを前後比べて意識する」と回答。活発な質問が続いた。