国内唯一の展示"クラカケアザラシのペア" おたる水族館


 おたる水族館 (祝津2・伊勢伸哉館長 )では、「クラカケアザラシ」のオスとメスのペアでの展示を、6月10日(火)から始め、飼育が難しい同種のペアでの展示は、国内では同館だけと注目が集まっている。
 昨年6月5日に同種のメス「さくら」が保護され、同館海獣公園のアザラシ館に展示中。この水槽に、今回新たに加わったオスの「ころすけ」は、釧路で保護され、5月10日に同館へ到着。推定年齢0歳。
kurakakeazarashi1.jpg 「ころすけ」と名付けたのは、見た目や態度に大物さがにじみ出ていて、アイヌ語で「長」の意味にあたる「コロクル」から命名したという。
 さくら(メス)1歳、体長120cm・体重40kg。ころすけ(オス)0歳、体長100cm・体重32kg。
 クラカケアザラシは、北海道近海に姿を現すアザラシの一種で、成獣になると濃いグレーの胴体に、馬具の鞍を掛けたように見えることから名付けられたと言われる。
 水深200mほどの深い場所の流氷の上で過ごしているため、沿岸に近づかないことや、傷から化膿して病気になるケースが多いことなどから、飼育が難しいため、国内でのペア飼育は、同館だけとなる。
 飼育員は全力で飼育に気を配り、室温20℃を超えないように、水温も15℃以上に上がらないように注意し、定期的に体重・体長・体温を測定し、飼育記録を残していく予定。毎日、ホッケやイカナゴなどを1.5〜2kg食べ、4月に生まれたゴマフアザラシの赤ちゃんと同じ位の食欲。
kurakakeazarashi2.jpg 以前、同種のアザラシを飼育中に死産してしまい、その後の繁殖例はなく、今後、同2頭の繁殖を目標としている。
 「さくら」は、春先の換毛期後、鞍を掛けたような模様が初めて見え、性格的にはおっとりしていて人の動きにびっくりするタイプ。一方、「ころすけ」は、赤ん坊だが、積極的な性格。初めての対面に、お互いにびっくりしていたが、最近では存在に慣れ、適当な距離を保ち、落ち着いている状態だという。
 担当の佐藤友美飼育係は、「2頭が仲良く生活し、是非、大人になったら待望の赤ちゃんを産んでもらいたい。どう成長するのか分からないことが多い。飼育も難しく、神経質な生き物だと感じることが多い」と話した。
 2頭のクラカケアザラシは、水槽の中をゆうゆうと泳ぎ、来館者からは、「かわいい!」の声が飛び交い、同館の人気者となっている。
 おたる水族館HP