多喜二命日 雪深い墓前にカーネーション

 小樽が生んだ日本を代表するプロレタリア作家・小林多喜二を偲ぶ「多喜二祭」が、2月20日の命日に合わせて開かれた。
 多喜二が眠る奥沢墓地に、全国各地からファン約80名が訪れ、墓前に80本の赤いカーネーションを献花し、多喜二の生きた時代に思いを馳せ偲んだ。
takijisai1.jpg 小林多喜二祭実行委員会(寺井勝夫実行委員長)が主催し、1988年から命日の2月20日に毎年開かれ、今年で28回目となる。
 13:30から開かれた墓前祭は、多喜二が父親のために建て、自らも眠る奥沢墓地で開かれた。墓前までの道は、前日に実行委員ら20名ほどが協力して道をつけ、墓の回りを除雪し準備を行った。
 青空が広がる好天の下、ツアー客を乗せたバスと、JR小樽駅前を出発した貸切バスが、奥沢墓地へ到着し、雪の一本道を多喜二の墓へ向かう人が列を作った。
takijisai2.jpg 実行委員長会を代表して菊地よう子氏は、「命を掛けて民衆の幸せと平和のために戦った生涯は、今日、私達の歩む道に蘇り励ましている。この思いを、赤いカーネーションとともに、墓前に捧げたいと思う」と挨拶した。
 参加者は、赤いカーネーションを墓前に捧げ、思い思いに多喜二を偲んでいた。
 同会・斎藤力事務局長は、「昨日、実行委員が雪を踏んで道をつけ、墓の雪を除雪した。毎年、広島や大阪・福岡など、必ず参加する人もいるが、年々少なくなっている。無事にカーネーションを献花し、多喜二を偲ぶことができた」と話した。
takijisai3.jpg 福岡県久留米市の野田尚代さんは3年続けて参加。「最近は、きな臭い世の中で、多喜二の時代のように呑気にしていられない不安な気持ちになる。多喜二の思いが広がっていると、参加してひしひしと感じた。若い世代へも伝えるために、私達が心を引き締めて、歌や映画などを通じて、引き継ぐことができれば」と話した。
 18:30から、市民センター(色内2)マリンホールで、小林多喜二原作・大地巌脚本の構成劇「東倶知安行」と、文芸評論家・宮本阿伎氏が講師を務める「多喜二の描いた女性像~格差・差別なき公正な世を~」の催しが開かれ、在りし日の多喜二を偲んだ。
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