修了展と美術部展 北海道高等聾学校


 北海道高等聾学校(銭函1・鈴木正昭校長)は、平成26年度「修了作品展」と「美術部展」を、2月18日(水)から22日(日)まで、市立小樽美術館(色内1)1階の多目的・市民ギャラリーで開いている。
rouhighschool1.jpg 同校には、高等部本科の1年から3年生まで48名と、本科卒業後に進む同校専攻科情報デザイン科(昭和56年に開設)の6名の合計54名が在学している。
 美術部展では、同校4名の美術部員が、部活動の時間を有効に活用し制作に励んだデッサン3点・油彩3点・日本画3点と、立体作品1点の作品と、椅子について調べたものをパネルにしたもの1点を展示している。
 また、3年前からの取り組みとなる修了展は、同校専攻科情報デザイン科の2名による、個性や若き感性が光る集大成作品を展示している。
 美術部は、高文連研究大会へ出展し、全道推薦作品に1名、奨励賞に2名が受賞する実力ある部員が集まり、それぞれが得意な分野で作品を発表している。
rouhighschool2.jpg 油彩と日本画は、鮮やかな色使いで、生き生きと描かれている。また、「楽な姿勢から正しい姿勢を保つ椅子」をテーマに、教室や図書室など様々な椅子を調査し、「猫背にならない椅子の掛け方」などを調査・研究したものをまとめ発表している。立体作品は、針金を五角形に組み合わせ、顧問のアドバイスを受けながら試行錯誤し、納得のいく形が完成した。
 山形竜之介君(20)は、椅子のようなオブジェ「和」と「孤独な冒険」の2点を出展している。空間に直径2mを超える12角形のオブジェは、センという道産の木材を使い、木目や質感、温かさを生かし、考案から素材選び、コンセプト、デザインなど半年ほどかけて完成させた。授業の中の取り組みで課題研究の作品。
 山形君は、「”和”は、図書館や美術館等、個人に属さない公の空間に配属し、誰でも安心して座ってもらえるように木の質感から温かさを感じられ、木を組んだ部分の陰影も美しく表現されるようデザインした。可変式のため、用途や空間に合わせて形を変えられ、空間との作品の一体化を図り、空間自体をひとつの美術品として見せる。人々が自然に集まれるような空間にするのも可能で、シックで落ち着いた印象を周囲にもたらす」と解説した。
 「孤独な冒険」は、穴が開いた木から球体が動き回っていることをイメージした作品で、板の動き回った痕跡をガスバーナーの焦げ目で表現している。

 また、今年初の試みとなる、筑波技術大学(茨城県つくば市)と連携し、山形君が「20年後の私の家」の間取り図を同校へ送り、それを基に、動画や3Dプリンターを使って作成した模型や授業風景を紹介するパネルなどを展示している。動画を見ながら、学生同士が議論し、改善したものを模型にしている。
 山形君は、「完成した作品は、先生から批評してもらうだけで、あまり見てもらう機会がないが、この作品展で、一般の方にも見てもらい、アドバイスがもらえると勉強になる」と話した。
 同校専攻科情報デザイン科・須藤彩子教諭は、「学校生活での集大成となり、自分の思いを形にすることができ、是非、ご覧いただき、アドバイスしてください」と話した。
 北道高等聾学校専攻科情報デザイン科修了作品展・美術部展
 2月18日(水)~22日(日)10:00~17:00(最終日15:30)
 市立小樽美術館(色内1-9-5)1階市民・多目的ギャラリー・入場無料
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