樽工生が設計に挑戦!小樽に建てたいレトロな建物


 一般社団法人北海道建築士事務所協会小樽支部(中野隆二小樽支部長)は、小樽工業高校建築科3年生20名の「小樽に建てたい建物」の設計コンペを、3月7日(月)から11日(金)までの5日間、市役所(花園2)別館渡り廊下で開いた。
0311kenchikuconpe.jpg 同小樽支部は、一般社団法人北海道建築士会小樽支部の共催を受け、これからの建築設計界を担う若い建築家を育てたい思いから開催を続け、今年で8回目となった。
 これまでは漠然とした「小樽に建てたい建物」をテーマにしていたが、地域風土の環境に恵まれ、歴史的建造物などの小樽の宝を、学生達に今一度注目してもらおうと、「レトロのまち小樽にふさわしい建物」とテーマを変更して開催。
 同事業は、事前に建築士の勉強会を開き、8月下旬には、コンペに参加する高校生を、旧日本郵船株式会社小樽支店・日本銀行旧小樽支店(金融資料館)・旧三井銀行小樽支店を見学させ、11月に同校で建築士による出前講座を実施し、建築史・郷土史などにも触れた。
 所要図面は、A1版1枚に1/200から1/500で配置図や平面図を書き、400字以内で設計要旨をまとめた。
 2月15日(月)に選考会を実施し、中野支部長をはじめ建築士7名が集まり公平に審査した。これまでの平面図主体より外観を重視し、最優秀賞1点・優秀賞1点・佳作1点・努力賞2点を選んだ。

 最優秀賞「二世帯住宅マンション」山下陸斗君の作品は、地下1階地上7階建てで、祖父と孫がふれあえるよう1階部分に銭湯を作り、海外の観光客にも銭湯の文化を体験できるよう工夫した作品。
 優秀賞「Community」岩船拓真君の作品は、3階建て延床面積3,073㎡。古い学校をイメージして、活発的な空間と静かな空間との距離を作るために渡り廊下を設置。小樽の人に気軽に利用してもらいたいと設計した。
 他にも、小樽のまち並みに合うよう赤レンガの老人ホームや自然採光を多く取り入れ館内を照らすことで光熱費削減に繋げ、エコを意識した新小樽図書館などの作品もあった。
 中野支部長は、「どれも大差はなく、高校で2年半学習し、新しいテーマに取り組み、良くできていた。将来が楽しみで、外の空気を嗅いで、小樽へ持ち帰り、建築に携わる仕事をしてもらいたい」と期待した。
 コンペに参加した生徒からは、内容が濃くて楽しいとの意見があり、プロの切り口から話を聞き、裏面史などに興味を示し、目を輝かせる生徒も多く、後世に伝える事が、建築士としての使命でもあるとした。
 同支部は、現在40社。賛助会員18社が加盟している。
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