小樽市鰊御殿 今シーズンの営業開始


 株式会社小樽水族館公社が管理運営する「小樽市鰊御殿」(祝津3)が、4ヶ月半ぶりに、今年度の営業を4月9日(土)から開始した。
nishingoten1.jpg まだまだ寒い季節が続き、入館者用に手編みの足カバーが用意され、おもてなしの心遣いが感じられる。
 2日前から準備を行い、開館当日の朝には、関係者15名が集まり、安全を祈願するセレモニーが開かれた。
 同施設は、祝津の観光スポットとして年間約2万人が利用。1960(昭和35)年5月31日、「北海道有形文化財・にしん漁場建築」として、本道の民家としては初めて文化財に指定されている。
 1897(明治30)年に鰊漁で栄華を極めた田中家初代当主・田中福松が西積丹の泊村に建てた御殿を、1958(昭和33)年に1カ月がかりで解体し、トラック50台で現在の位置に移築した。
nishingoten2.jpg 一切釘を使用せず、継ぎ目のない長い木材を使用していたため、その頃の道路状況により夜間に搬送した。復元には50日を要し、延べ2,000人が動員され、現在の地にその姿が甦った。
 一部2階建て総面積611.9㎡(185.1坪)で、施設には、鰊加工に使用した当時の道具類や生活道具、番屋の暮らしぶりを伺い知ることができる写真を展示。安政から明治にかけて東北地方と蝦夷地間の物流を回送するために使用した150石積の帆船(弁財船)の模型も展示している。また、建物の庭から見える石狩湾の雄大な景色は必見で、当時、賑わった鰊漁に思いを馳せながら、歴史の街小樽を楽しめるスポットとなる。
 施設は、11月23日(水・祝)まで無休で開館し2名が常駐。要望があれば、内部を案内してもらえる。その1人、森下澄子さんは、「今年も開館する季節となり、多くの人々に来館してもらいたい」と話した。

 神奈川県から訪れた2人連れや、開館を楽しみにしてきた家族連れなどが、さっそく訪れ、興味深く展示物を眺めていた。
 小樽市鰊御殿(祝津3)
 4月9日(土)〜11月23日(水・祝)9:00〜17:00(10月16日〜16:00)
 入館料:大人300円、高校生・市内在住の70歳以上150円、中学生以下無料(20名以上の団体2割引)
 問合せ:0134-22-1038
https://www.city.otaru.lg.jp/kankou/miru_asobu_tomaru/kokyo_sisetu/nisingoten.html 小樽市鰊御殿