昆虫をリアルに描く! 田中眞理昆虫画展


 小樽在住のイラストレーター・田中眞理氏の昆虫画展が、8月30日(火)から9月4日(日)まで、市立小樽美術館(色内2)1階多目的ギャラリーを会場に開かれている。
kontyuten1.jpg 肉眼では確認しずらい小さな昆虫を顕微鏡を使って正確に描いた、1993年の最初の作品から2015年までに描き貯めた52点を展示。作品の横には画題にした昆虫の標本も展示されている。細密に描かれた昆虫の作品に、来場者は熱心に鑑賞していた。
 現在、最新作の「エゾマイマイカブリ」を制作中で、会場では、描く工程のデモンストレーションや、希望者には顕微鏡を覗かせ、子どもから大人まで楽しめる作品展となっている。
 田中氏は、子どもの頃から生き物に興味があり、北海道総合博物館に勤務していた頃、昆虫の標本に触れ、昆虫学者・大原昌宏教授に出会い、「昆虫を描ける?」と言葉をかけられたのがきっかけとなり、昆虫について学び、詳しく昆虫を知ることで、より細密に描くことができるようになったという。
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 小さな昆虫を、顕微鏡の描画装置を使ってグラフ用紙にスケッチし、体の作りを調べてトレースし、パーツとして分かれた部分と線に見える部分の違いなどに注意を払う。
 エンマムシ科の昆虫の特徴の上翅(じょうし)の筋状の模様・点刻(てんこく)は、論文を参考に描く。筋の長さで種類が異なるため、どのパーツも細心の注意を払い描き、神経の使う作業で、A4サイズの用紙に完成させるまで、1日5時間1ヶ月以上を費やす根気のいる仕事である。
 どの作品も目を見張るものばかりだが、「セイヨウオオマルハナバチ」(2015年)は、黒と黄色の縞模様の毛皮をふわふわに、羽を広げた状態を描いた作品。
kontyuten3.jpgあまりにも本物そっくりなため、ハチの恐ろしさと可愛らしさを感じる作品や、2000年に発見された新種「クロスジベニモンツノカメムシ Elasmostethus hasegawai Yamamoto, 2003.」もポスターカラー版とモノクロ版で発表している。
 肉眼で描いたヒメギフチョウ・アカタテハ・オニヤンマや、2007年の北海道総合博物館で開かれた「ファーブルにまなぶ」展のポスターやペーパークラフト、ピンバッチ、掲載された雑誌や冊子も展示中だ。
 田中氏は、「会場の作品を通じて、このような昆虫の世界を知っていただきたい」と話した。
 色・かたちー昆虫の仕事 田中眞理昆虫画展
 8月30日(水)〜9月4日(日)9:30〜17:00(最終日16:00)
 市立小樽美術館(色内1)1階多目的ギャラリー 入場無料
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