幌内鉄道を見直そう! 北海道鉄道文化保存会記念事業


Railhozon2.jpg NPO法人北海道鉄道文化保存会(飯田勝幸理事長)が、設立10周年の記念事業として、映画上映会と幌内鉄道に関するフォーラムを、9月22日(土)小樽市民センターマリンホール(色内2)で開催し、市民ら約60名が出席した。
 同会は、明治15(1882)年に手宮と幌内間を石炭を運ぶため開通した「幌内鉄道」をはじめ、北海道鉄道を支えてきた多くの鉄道関係資料を「かけがえのない北海道の文化財」として捉え、永く後世に継承するべく運動を展開している。
Railhozon3.jpg 記念事業は2部構成になっており、1部では幌内鉄道が北海道開拓使や御雇外国人のクロフォードによって開通された歴史から、昭和62(1987)年に廃止されるまでの記録映画『さらば栄光の幌内線』(1988年制作、企画:岩見沢市・三笠市、41分29秒)が上映された。
 2部では、飯田理事長が幌内鉄道の歴史や役割などについて、特に小樽との関係をスライドを使って解説。旧北山中学校の「北山シネマ倶楽部」が15年前に制作した、『時空軌道~旧手宮線を歩く』が上映され、フォーラムが行われた。
 同作品は、散策路として整備される前の旧手宮線の様子が収録された貴重な映像で、北海道映像メディアコンクールで奨励賞を受賞。現在、小樽図書館のDVD資料として収蔵されており、誰でも見ることができる。
Railhozon1.jpg また、フォーラムでは、飯田理事長のほか、自身も機関車が好きで子どもの頃にSLを撮影していた迫(はざま)俊哉小樽市長、『時空軌道』制作当時の同倶楽部顧問だった髙橋恒雄北陵中教頭、同倶楽部代表だった古田千春さんがパネリストとして参加した。
 迫市長は、「北防波堤を作った廣井勇博士については、学校の副読本にも詳しく書かれており、子どもたちにもよく知られている。幌内線敷設を進めたクロフォード技師の功績についても、改めて副読本にも明記して、子ども達に伝えていかなければならないと、2本の記録映画を見て感じた。
 アジアの好景気を背景に、小樽にはたくさんの外国人観光客が来ているが、今こそ、将来に向けて持続性のある観光戦力をしっかり考えていく時だ。
Railhozon4.jpg 旧手宮線の整備は一旦終了したが、このまま終わるのではなく、旧手宮線が北海道の経済を支えたことを伝えていきながら、北運河・小樽港を含め、歴史性・文化性の高い街づくりをすることで、末長い小樽観光を目指していきたい」と話した。
 古田さんは、「旧手宮線が色々な世代の生活空間になっていることに気づいた。カメラを通して見た風景の中を機関車が行き交っているような気持ちになった」と、撮影した当時を振り返った。
 最後に、飯田理事長は、「クロフォードの実行力がなければ、現在の小樽の街は無かった。小樽市民に元気が無いような気がする今こそ、クロフォードのような意志や実行力のある人が必要。年齢に関わらず、みんなで色々考える場を作っていきたい」と、会場に呼び掛けた。
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