広域災害救急医療情報システム(EMIS)研修会


 3月23日(土)14:00から、小樽市立病院(住ノ江)2階講堂を会場に、小樽市保健所と同病院、小樽市医師会の3つ機関が合同で、市内の医療機関等を対象とした「広域災害救急医療情報システム(EMIS)」に関する研修会を初開催。災害時の救急医療体制の強化を図った。
 昨年9月6日に発生した胆振東部地震時に起きたブラックアウトで、医療機関の完全な情報収集には、発生から4日間も掛かるなど、多くの課題が見つかった。
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 また、2006(平成18)年から導入している全国的な災害医療情報システムであるEMISの周知不足が要因に上げられ、その扱い方と入力方法について研修会が行われた。
 市内の9医療機関及び小樽市消防本部から20名が参加。同病院DMAT隊(災害派遣医療チーム)の岸川和弘医師をはじめ11名が講師となり、パソコンを用いて実際に入力を行った。
 冒頭、貞本晃一保健所長は、「市内EMIS登録している医療機関は34機関あり、4ヶ所の基幹病院と4ヶ所の支援病院で構成。災害時に入力することで迅速に対応できる。なかなか入力する機会がなく、年に1度は研修をして、小樽の災害医療対策に活かせるように、いざと言う時に使えるようにしてもらいたい」と挨拶。
 2006(平成18)年に導入され、病院や避難所の災害時の状況を把握するためのネット上の掲示板で、インターネットに繋がるものであれば、同画面に接続できる。岸川医師から詳細な説明を受けた。
 電気・火災・食料等のライフラインや患者の状況などの入力項目に分かれ、患者の受診状況や職員の不足などについても入力でき、情報を共有する。
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 胆振東部地震では、同病院がEMIS活動拠点に指定され、後志53の医療機関のEMIS情報を収集した。
 9月6日発生時では、パソコンが使えない状況であったりと入力ができず、ほとんど機能していなかったことが分かり、EMISの入力率から検証すると、道内EMIS連携機関約1,000件(病院約600・一般診療所約400)の全体的な把握まで5日間も要し、非常に時間がかかり、今後の反省点となった。
 EMISの患者状況を見て支援が必要かを判断し、実際には、DMAT40チームが札幌・厚真・むかわ等に応援に向かったという。
 実践では、EMISを開いてログインするところからスタート。アセスメントシートの入力では、緊急時と詳細入力の2タイプがあり、保健所とDAMTは代行入力できる。
 岸川医師は、「入力等の研修は初めて。昨年発生した胆振東部地震時に、全道的に円滑に入力できなかった反省点を踏まえ、災害時に備えてもらいたい」と話した。
 保健所では「今後、市内すべてのEMIS登録医療機関の参加を目標に、研修会を実施し、速やかな体制作りを目指している」と期待した。
 EMIS 広域災害救急医療情報システムHP