キノコ採り、ニセコ山中行方不明からの生還!!

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kasima.jpg 今夏(2002年)の8月24日(土)ニセコにキノコ採りに行った小樽市内の男性が行方不明となり、警察・消防・自衛隊・地元の人などの大規模な捜索が展開された。この結果、ようやく3日目に捜索隊に発見され、無事小樽へ生還した。この3日間の遭難の一部始終を本人から聞いた。
 キノコ採りにいき、ニセコ山中で行方不明になった男性は、長年小樽の大洋市場で青果商を営む鹿島慶助さん(62才)。例年キノコの季節になると、落葉を求めて山に入るのが趣味の鹿島さん。8月24日10:00頃、義弟と2人で落葉採りに出かけた。雨除けのビニールカッパと長靴・熊よけと2人がはぐれないように呼び笛を買って出かけた。
 最初はいつも良く行く冷水峠の森林で、落葉採りを始め、すぐに2、3kg採れたが、そこいらじゅうに熊の糞があるので、場所を替えようとニセコに向った。近道をしようといつもとは違った逆の道を行った。行き止まりになったので、車を置いて林へ入った・呼び笛を互いに吹き鳴らしながら、相手の存在を確認しつつ落葉採りに夢中になった。大きな落葉が採れるので夢中になって、気が付くと相手の笛の音も聞こえない沢の中に迷い込んでいた。遠くに農作業を終えた夫婦が見えたので、一生懸命笛を吹いたが気が付いてもらえなかった。道を見つけようとあちこち歩き回っていたが、夜になったので明るくなるのを待とうと、木の根元で夜を明かすことにした。持って来た握り飯を昼に食べ、コンビニで買ったグラタンを午後に食べたので、空腹は感じなかった。
 最初の夜は月夜で周囲も明るかった。その夜にかけてキツネの踊りを見た。30〜50人位の顔に厚化粧をし、手拭いを被ったキツネ踊りの集団があっちからやって来る。消えたかなと思うと、今度は反対側からガヤガヤと同じように集団でやって来ては消える。あれは幻想だったのだろうか。キツネにだまされる話を聞いたことがあるが、まさか自分が経験するとは思いもしなかった。キツネの踊りが終わると、高い山に登れ!高い山に登れ!の声が耳元で響く。この声に誘われて急斜面を上がったり、雨ガッパを尻に敷いて下ったりして運動したので、身体も暖まって夜は寒くなかった。
 気が付いて見ると、道を探して歩き回った時に、沼地に足をとられ難儀したり、急坂を登ったりで、ひざには虫の卵や刺がいっぱい入ってしまい、足が膨らみいつもの倍ぐらいの太い足になっていた。最初の日は満月で、周囲も明るく良く見えた。UFOでも飛んで来ないかなぁ、第一発見者になれるのに!などと呑気に考えていた。
 2日目に入って、ヘリコプターの音が聞こえ、上空からマイクの呼びかけ声が聞こえた。笹を3本束ねて手に持ち、大きくかざせという呼びかけ通りにするが、ヘリコプターの猛烈な風で、とても発見されそうにない虚しさを噛み締めた。雨も降って来たので、身体を横にし、口を開けて雨水で咽喉を潤した。
 ヘリコプターが来ていたので、助かると思い「死」についてはまるで考えなかった。ヘリコプターがやって来ると、あれで100万円かな。また来たので200万円になったかな。これでは年金も無くなり、うまいものが食えなくなるなどと考えていた。空腹も緊張からかあまり感じなかった。初日に食べたグラタンが効いていたのだと思う。ただ咽喉がカラカラで、すごい咳が出て、内臓が飛び出すのではないかと思うほど咳が止まらなかった。
 10m位下の方を、熊の子供が2頭ジャレ合いながら通って行った。親熊に会うと危険なので、身体を腐った倒木の陰に隠して、じっとしていた。
 2日目になって、携帯電話を持たされているのに気付いた。それは、友人からの電話が可能な場所でベルが鳴ったから。何処にいると聞くが、何処だか判らない。警察や自衛隊も代わったが、自分が何処にいるのかが判らない笹薮の中で、位置を知らせることは出来なかった。そのうち携帯電話の電池が切れて繋がらなくなった。笛はいつも吹いていた。夜には、女房ではなく母親が出てきて「がんばれ」との声を聞いた。
 その日はついに捜索隊に発見されず、2日目の夜に入った。するとまた前夜に出た、化粧して頬被りをしてキツネが踊っているのを見た。前夜と同じくこのキツネ踊りは、集団で2回だけ出てきた。ワイワイガヤガヤ言いながら下りてくる。実感だったが、だまされたのかな。
 3日目に入り、捜索隊が見つけやすいように、空間が開いている場所まで登って笛を吹いた。ようやく笛を聞きつけた消防の捜索隊に発見され、自衛隊のヘリコプターに吊り上げられて、救助された。ヘリの中で隊員がくれた清涼飲料水(ポカリ)のうまかったこと。人生の中で一番うまかったので、大きいボトルを一気に空けた。
 その後病院に入れられたが、3日3晩爆睡していたらしく、まったく憶えていない。倶知安から小樽へ救急車で運ばれたことも、小樽の病院に入ったことも記憶にない。その後持病の肝臓が弱っていたため、札幌の病院に40日間入院して、やっと10月8日に退院でき、元気になり仕事にも復帰できた。
 色々な方に迷惑をお掛けしたことのお詫びと、生命を救ってくれた山への感謝を込めて、現場の山へお神酒と野菜と果物を奉げてきた。今頃、キツネたちはあの酒を飲んで踊っているのではないかな!
 キノコ採りは面白くてやめられず、昨日も行ってきたが、山に入るなと家族から厳命されているので、道端で落葉採りをしたが、またまたいっぱい採れたよ!ヘリコプターなどの費用も3日目までは無料だったので、助かったよ!