浪漫紀行 プロローグ

小樽otaruへ入るには、海岸線を縫って走るJR函館本線の利用が一番のお勧めだ。

札幌の町や手稲の山を眺めながら、小樽市に入り、銭函駅を過ぎると、景色は一変する。

進行方向右手に小樽の海が広がる。日本海だ。石狩湾だ。

鉄路は、この海に沿いながら、大きな蛇行を繰り返し、終点の小樽駅を目指す。

蛇行の度に鳴らされるカン高い汽笛の音が、旅情を一層豊かにする。

車窓には、日本海が大きく広がり、波打ち際をひた走る電車に、石狩の海の波が打ち寄せる。

夕暮れ時なら,夕陽に照らされ真っ赤に染まる町に、やがて灯りがともり、
港と町並みが、海上に浮かび上がる。

懐かしい、やさしい小樽の町が、だんだんと近付いてくる。

町の中心に入り、最後の緩いカーブを切ると、終点の小樽駅だ。

小樽に入るこのJR函館本線の眺望は、いつの季節でも心地よい。

春、夏、秋、冬いつの季節も、それぞれの見事な眺めを自然のキャンバスに演出してくれる。

駅を降りると、正面の向こうに、運河と港と海と船とが見える。

小樽の町は、一度は行ってみたい町。

一度行ったら、二度三度と行きたくなる町。

二度三度と行ったら、ずっと住みたくなる町だ。

さあ、小樽の町と人が、あなたを待っている。