坂道散策

赤 坂

 海に向かって左手の三本木急坂と右手の山ノ上の坂(安政の坂道)と出会う坂の頂上から、海側へ向かって下る急勾配の坂が赤坂だ。
 JR南小樽駅からは、左手の突き当りで、歩いても1、2分の距離。港の眺めと背後に一直線に延びる住吉神社の森が眺められる。
 坂の途中で花を栽培していた主婦が「冬はテカテカでとてもじゃないが歩かれない」とこぼしていた。
 この坂の下に進出したユニクロが真下だ。

観音坂

 今はトンネルで一跨ぎの国道の開通前の忍路から蘭島に抜ける主要道は観音坂の急坂だった。
 忍路神社前の十字路を左折すると、上り勾配が始まり坂の頂上へと急坂が続く。
 坂の頂上には観音坂の由来となる観音堂と2体の観音様を奉った小さな祠がある。
 頂上からは蘭島へと急勾配が続き、広々とした蘭島海水浴場へと行き着く。

浄応寺の坂

 石山中学を終ると立派な石垣に囲まれた浄応寺があるが、この前の坂を浄応寺の坂という。
 下りの勾配はかなり急で、上りも下りも冬は難所として有名だ。坂の途中の浄応寺の本堂は改修され、見事な姿に生まれ変わった。

団子坂

 小樽公園の桜ケ丘球場と遊園地のおたるこどもの国を過ぎ、菁園中学校へ下る急勾配の坂道が団子坂だ。
 この坂の勾配の急なことは、自分で歩いて初めて実感できる。横を向いて下りなければならない程の急坂で付近の子供は冬には絶好の滑り台で、滑って遊んだという。
 名の由来はここにあった茶店の名物きび団子(桃太郎団子)による。付近の人は単に団子坂と言うことが多いが、又は桃太郎団子坂とも呼ぶ。

野藤坂

 梅ケ枝町の北生病院の手前から梅ケ枝交番があった処に野藤坂と書かれた石碑が建っている。
 この坂の名は地元に貢献した市議会議員野藤常太郎に由来する。
 坂はこの石碑の処から始まり、左に大きく曲がって、住宅街へ抜けている。

石山中学への坂

 国道5号線と臨港線とが交差する稲北十字街を5号線から真直ぐに上る勾配19%の急な坂は石山中学への坂道だ。
 坂の頂上には石山中学があり、これから下りは浄応寺の坂へと連なっている。
 この坂の上り下りは冬の難所となる。
 市中心部と手宮地区への抜け道として利用も多い。

三本木急坂

 メルヘン交差点の小樽オルゴール堂の脇から海陽亭を通り、JR南小樽駅方面の住吉町へ上る坂道がある。これが三本木急坂で坂の上り口には勾配8%と三本木急坂を示す標識が建っている。
 小樽オルゴール堂、海陽亭、猪俣邸と、市の歴史的建造物に指定されている建物を見ながら坂の上に出ると小樽港を一望できる。
 坂の頂上から左手の海側へ下る急な坂が赤坂で信香町の臨港線方面へ下る坂が山ノ上の坂、又は安政の坂道といわれる坂で、三本の坂道が交差しているのが、この坂の頂上だ。
 三本木坂は海陽亭の向かいに三本のタモの大木があったことに由来しているという。坂の上から小樽港の灯台が真正面に見え、背後の道は住吉神社の森へ真直ぐと延びている気持ちの良い処だ。

職人坂

 花園公園から水天宮へ向かい花園橋を渡ると道を挟んで石燈篭が2基あり、左右に別れる坂道がある。左手に下ると寿司屋通りへ、右手に下ると入船へ向かう坂道。
 この坂道の通り沿いには、かつて仏壇屋、飾り師、家具師、金具師、表具師など数多くの職人の店が軒を並べていたことに由来する。
 現在でも仏壇店があり、かつての面影がうかがえる。寿司屋通りから入船へ抜ける道として交通量が多い坂道だ。

手宮公園横の坂

 手宮バスターミナルを手宮公園へ直進すると手宮小辺りから急坂が小樽稲荷神社まで続いている。
 手宮小横の坂とも、小樽稲荷神社の坂とも言える一直線に上る急勾配の坂道だ。右手に手宮公園の桜や栗の大木が繁っており、緑が心地良い。
 稲荷神社に回ってから、公園内の散歩道を辿るコースは変化ある眺望を見せてくれる。

平磯通りの坂

 平磯公園から桜町ロータリーへの坂道も朝里への抜け道として交通量も多い。
 桜の時期には公園の桜がきれいだが、小樽の坂はどこも冬にはテカテカで全部が難所になるのだが、この坂も難所の一つに数えられる。
 小樽サティへ落ちてゆくような傾斜があり、車での走行は注意が必要。
 眺めは公園からゆっくりと楽しんだほうが安全だ。

見晴坂

 堺町本通りの「ふうど館」の向い、「養老の滝」」と寿し処「多喜二」との間に板谷邸へ上る急坂がある。
 冬期は全面閉鎖され、人も車も通れない勾配20%の急な坂だ。
 板谷邸を左折すれば旧寿原邸、水天宮や外人坂に着く。

地獄坂

 地獄坂という厳めしい名が付いた坂も有名だ。この坂は小樽駅の裏手の商大通りにつけられた名前で、文字通り真冬の天狗降ろしの吹雪がまともに吹きつける坂で、旧小樽高等商業学校(現小樽商科大学)の学生が通学に苦労して名付けたといわれている。
 商大の正門前の道路には地獄坂と勾配10%と記された標識が建っている。
 坂は緩くカーブしているが途中からの眺めは良くカトリック富岡教会もこの坂の途中にあり、絵になる教会と併せて楽しむとこの坂道の良さがよくわかる。

水天宮への坂

 外人坂とは別に水天宮には境内入口の右手の啄木歌碑のあるところからメルヘン交差点方面へ下る眺めの良い急な坂があり、この坂道も風情があり、ゆっくりと楽しみたい。
 このすてきな坂道らしい坂道に名前はなく、雰囲気にぴったりの適当な名前を付けて欲しいものだ。

手宮公園への坂

 手宮バスターミナルから手宮公園への坂道がある。
 手宮公園も桜の名所で、北限の栗林もあり、眺望の良さでも知られる。公園は広く、どこから登っても坂道を辿らなければならない。緑の木葉がくれに見える街と海の景色はすばらしいものがある。
 登り切った公園には陸上競技場があり、いつも市民スポーツで賑わっている。崖の上にあるだけに、東方に広がる小樽の景色は反対の東側の平磯公園から見ると一対をなす。
 天気の良い日に弁当持参のちょっとしたハイキング気分での散策に向いている坂道だ。

船見坂

 小樽の坂の中でも最も有名なのがこの船見坂だ。
 小樽駅前の国道5号線を左折すると、船見坂と書かれた信号機のある交差点に出る。この左手から富岡ニュータウンまで坂が一直線に続いている。坂を上って振り返ると小樽の港と往来する船がいくつも見え、船見坂の名が付いていることに納得がいく。
 坂から見る眺めの良さは映画やテレビのロケに何度も登場し、人気も高い。
 坂を上りきった富岡ニュータウンには、眺めの良い喫茶店やレストランがあり、小樽の町と海を眺めながら坂道で疲れた足を休めるのに良い。

もうひとつの地獄坂

 カトリック富岡教会を下り左折すると浅草寺の前に出るが、ここを右折すると小樽税務署、小樽法務局、地検小樽支部、小樽警察署へとつながる恐い官庁街へ出る。
 この道も商大からJR小樽駅までの近道として商大生たちに利用されているが、浅草寺から国道5号線までを恐い官庁にちなんで、もう一つの地獄坂と呼んでる。

住ノ江町の坂

 住吉神社横の坂を上り切って右に曲がると突き当たるのが住ノ江町の坂だ。
 入船町をと住ノ江町を結ぶ坂で、手すりの付いた106段の階段の坂で、階段を下ると、入船町の交番への坂へと続いている。
 坂道の上からは入船町が眼下に拡がっている。

手宮十間道路の坂

 単に十間坂又は手宮十間道路の坂と言われる急坂は毎年「イカ電まつり」が開かれる手宮銀座から荒巻山へと上る急勾配の坂。
 坂の街小樽の中でも市内一の急坂と言われ、勾配が23%もある。十間坂の名の通り道幅も広く、頂上に立つと市街を一望に見下ろす景色が広がっている。
 坂の入口に高い時計塔が蒸気機関車の走行音と汽笛で時報を知らせている。

紅葉橋坂

 小樽公園の市民会館と市公会堂を左手に見て緑町へと下る坂が紅葉橋の坂だ。
 公会堂から紅葉橋へと下る道路の左手には勾配10%と記した紅葉坂の標識がある。緑町大通り側から上るとすぐに紅葉橋がある。
 この橋には時代を感じさせる丸いランプ型のしゃれた街灯がつけられている。
 この橋から眺める公会堂の和風建築が堂々たる構えを見せる。
 ゆっくりと辿ると小樽公園へ出る。橋から坂のカーブが美しい道だ

外人坂

 水天宮の境内から海側の堺町へ下る階段の急坂がある。坂を下りると両脇に立派な石壁や階段を擁した宅地があり、かつてこの辺りが屋敷町だったことを忍ばせる。
 この坂の途中にかつてドイツ人貿易商が32年間も住んでいたことから外人坂の名が付いたという。
 現在は坂の階段の隣に、いまにも全壊すると思われる廃屋が残っており、石段の上り下りには注意が必要だ。
 坂の雰囲気は良く、水天宮の眺望とともにゆっくり散歩したい坂道だ。

十一坂

 入船大通りの入船会館脇の坂道で、JR函館本線沿いの急坂だ。
 花園へ抜ける近道として利用されている。曲がりくねった坂道を抜けると、花園の通りへ突然に出会う。
 この坂の途中に「十一屋」という酒屋が在ったことから付けられた名だという。

住吉神社横の坂

 住吉神社の境内に沿う北側の広い坂道である。
 国道5号線から上っており神社に沿って、左手は車庫と神社の森が続いているが、右側には古い民家や寺がある。坂の途中を右折すれば住ノ江カトリック教会がある。
 坂を神社社務所まで上ると道路の右手に梅の木があり、その下に芭蕉の句碑がひっそりと建っている。
 坂は右に大きくカーブして住ノ江の坂へとつながっている。高台からの市街の眺めは良い。

なべこわしの坂

 望洋台から朝里川温泉の文治沢バス停へ抜ける坂道がなべこわしの坂だ。
 この坂はかつて朝里村と小樽市とを結ぶ生活道路で急坂であった。なべこわしの坂というユニークな名前は、この生活道路で物資を運ぶ途中、馬の鞍にくくりつけた鉄鍋がはずれて落ち、壊れたという故事に由来する。
 この坂道は現在は整備され、かつての面影はまるでうかがえない。名前のユニークさでは小樽の坂道でも面白さが傑出している。

山ノ上の坂(安政の坂道)

 三本木急坂を上り、赤坂を左手に見て、臨港線の信香町へ下る坂道が山ノ上の坂(安政の坂道)だ。
 この辺りは、かつての山ノ上町と呼ばれ、入船側を「三本木急坂」信香側を「山ノ上の坂」と言った。
 坂の上り口には人気のラーメン店があり、坂の途中には黒壁作りの見事な伊藤染舗店が現在も昔の姿を見せている。

坂道散策