小樽旧手宮鉄道の“機関車庫三号”公開!

 旧小樽交通記念館(手宮1)にある国の重要文化財「機関車庫三号」が、「近代化遺産の日」(10/20)に合わせ、10月21日(土)と22日(日)の2日間で特別公開された。
 この「機関車庫三号」は、1885(明治18)年に完成。国内で現存する機関車庫の中で日本最古のもの。フランス積みのレンガ造りで、扇形が特徴的。北海道庁赤レンガ庁舎を手がけた平井晴二郎が設計した。室内は、間仕切り壁で東側に一室、西側を車両2台分の空間に区分されている。
 同車庫は、2006(平成18)年と2007(平成19)年の2ヵ年で大規模な修理工事を実施している。外観の保存修理工事では、レンガと目地の破損部分の補修や強化剤と撥水剤を全面に塗布する作業と屋根の復旧や塗装。内部は、既存の補強鉄骨の解体やモルタル仕上面の解体と復旧など。
 近代化遺産全国一斉公開に伴い、小樽市教育委員会生涯学習課では、「貴重な近代化遺産である機関車庫の保存修理工事で、重要文化財の持つ歴史的意義と文化財保護の実際を見てもらいたい」と、10月21日(土)と22日(日)の2日間で、修理中の機関車庫を公開した。
 2日間の特別公開では、建築物に興味のある小樽工業高の生徒や北海道職業能力開発大学校の建築課の生徒たちなど約40名が参加。財団法人・文化財建造物保存技術協会の専門家による講習や現場案内に関心を示していた。今回は、建築技法や素材の調査を行う解体調査も行っており、機関車庫三号のレールの下から点検作業用のピット(溝)が見つかっている。
 本格的な工事が実施される前の見学とあって、ヘルメットを被った参加者はひとつひとつじっくり見ていた。120年間の歴史を物語る風化や建設当時の加工痕、レールに刻まれた刻印などや発掘された長さ約10m・幅70cm・深さ50cmの作業用ピット(溝)など、長い歴史を感じさせる部分に感動する参加者が多く見られた。
 北海道職業能力開発大学校・建築課2年の鈴木琢磨くん(20)は、「古い建物の傷み、壁の崩れ方、劣化の仕方などを見て、どうしてそうなったのかなどを学習して勉強になりました」
 工業高1年の小林直智くん(15)は、「建物を勉強しているので、この見学会に参加して、勉強になってすごく良かったです。小樽市内には、たくさんの古い建物があるので、色々見て回りたいと思います」と熱心に見学していた。

 全国近代化遺産活用連絡協議会HP