小樽ゆかりの版画家10人を紹介!市立小樽美術館


hanga10nin.jpg 小樽ゆかりの版画家10人の作品を紹介する「小樽・版画の10人展」が、10月19日(金)から、市立小樽美術館(色内1)で開かれている。北海道版画界の中でも重要な位置を占める、小樽ゆかりの版画家たちの木版やエッチング、シルクスクリーンなど、様々な作品が一堂に会している。
 世界的に著名な斎藤清と棟方志功の2氏は東北出身だが、共通の友人の導きで、1929(昭和4)年小樽で出会った。斎藤氏は、会津の風景と文楽など日本文化を題材とした木版画で、国際的に評価されている。棟方氏は、仏を題材にした作品が有名。国際版画大賞を受賞し、世界の棟方として知られている。
 その2氏の影響を受け、河野薫氏と金子誠治氏が、木版の世界に飛び込んだ。小樽出身の河野氏は、独自の世界を切り開き、日本よりも海外の愛好家から認められた。普遍的な少女の姿を描き出す版画家として知られる。金子氏は、旧制小樽市中学(現長橋中)在学中に棟方志功を紹介されて、版画の世界に入った。北海道を代表する版画家。
 小樽生まれの大本靖氏は、多色刷木版に洗練された造形感覚を導入した。北海道の大自然をテーマに制作を続け、北海道の版画界の牽引者として知られる。
 沢田哲郎氏は、油絵で確立した微妙なグラデーションのある抽象表現を、違和感なくシルクスクリーンに活かし、海外で成功した。平行線で構成される風景画は、若者から人気がある。
 小樽市在住の一原有徳氏は、モノタイプ(一点刷)を発表し注目を浴びた。冷たい金属の集積や宇宙空間などのイメージを喚起した特異な作風で、国際的に高く評価されている。一原氏の職場の先輩で美術の世界へ導いた須田三代治氏は、逆に一原に触発されて熱版を試みた。
 森ヒロコと小林大の2氏は、70~80年代に登場し、細密表現を可能にする銅版の特性を生かしてイメージを膨らませ、物語性豊かな世界を創造している。
 小樽美術館には、北海道の版画の軌跡を辿るうえでも重要な版画家たち10人の作品75点が展示されている。木版、エッチング、アクアチント、モノタイプ、熱版、シルクスクリーンなど、様々な版画の世界が味わえる。
 同展は、10月19日(金)から2008年1月20日(日)まで。一般300円、高校生・市内70歳以上150円、中学生以下無料。問合せ:34-0035 小樽美術館。
 市立小樽美術館HP

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