自然に帰った小樽産のイトウ 恵庭市の漁川に放流 

itohoryu.jpg 市立潮見台小学校6年生(荒木学級)は、5月3日(土)午前、恵庭市を流れる漁川(いざりかわ・石狩川系)を訪れ、里親として一生懸命育てた、イトウ40匹を放流し、最後のお別れを告げた。



 イトウの里親飼育は、同学級が5年生(24人)の時に、総合学習で実施。市内平野井養魚場(桜5)の平野井篤さん(72)から飼育方法を教わり、イトウの稚魚たちの給餌やフン取りを行った。小学生らしいユニークな名前をつけて可愛がり、毎日欠かさず日誌をつけて、成長を記録した。2007(平成19)年4月に生まれたイトウは、みるみる成長。里親期間の4ヶ月間で、10.5cm15gだった稚魚が12cm・17gへと大きくなった。
 5月に入り、ようやく放流の時期を迎え、同学級の子供・保護者25人が、3日(土)9:30、このイトウの生まれ故郷である石狩川系(千歳川支流の漁川)に向かった。
 平野井さんの車に乗せられ、70L水槽に入れられたイトウたちは、小樽から恵庭まで約1時間30分、車に揺られても、水槽の中でバシャバシャと元気に動き回っていた。恵庭のインターチェンジ入口で、「石狩川イトウの会」と合流し、放流場所へ。
 漁川に到着すると、大人4人がかりで70L水槽を車から川岸まで運び、中に入っていたイトウを17個の小さなバケツに移した。参加した子供10人が、別れを惜しみながらゆっくりバケツを川に入れ、イトウたちを母なる川に放流した。
 子供たちは、「バイバイ」、「行って来い」、「負けるなよ」 と別れを告げた。川に放流され自然に帰ったイトウは、満1年魚29 匹(15㎝前後)と2年魚11匹(30㎝前後)の計40匹。放流されてからも、しばらくは、川岸でくるくる回り、里親たちと、別れを惜しんでいる様子だった。
 平野井さんは、「仲間意識で、すぐには離れないんだな。人間を育てるということも苦労だが、言葉を持たない生き物を育てることは、さらに苦労する。私は、イトウの飼育を始めて15年で、ようやくふ化に成功し、放流することまで出来た。こういった体験が、子供のうちに出来ることは幸せなことだ。子供たちの心に一生残るだろう」 と、感慨深げだった。
 久保田奈穂美・草島慧ちゃん(11)は、「フン取りは大変だったが、餌やりは面白かった。名前をつけて可愛がって育てたイトウが、いなくなってちょっと寂しいが仕方ない。行って来いと見送った」 と話していた。
 飼育から放流までの貴重な生きた体験を行った同学級では、5月11日(日)に、イトウの人工授精の体験を行う予定。今度は、生命の誕生に触れ、命の大切さをさらに深く学ぶことになる。
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