「オタル」の生まれた場所の自然 学芸員リレー講座

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sinkawa1.JPG 学芸員リレー講座第11講「『オタル』の生まれた場所 新川河口の自然」が、11月16日(日)13:30~15:00、市総合博物館(手宮1)で開かれた。
 今回のリレー講座は、小樽という地名の元になった場所、銭函の新川河口付近にあった「オタ・オル・ナイ(砂の中を流れる川・アイヌ語)」に広がる砂丘と湿原に暮らす動植物について調査を進める山本亜生学芸員によって行われた。
 新川河口は、小樽市の西端の銭函3・4丁目と石狩、札幌市の境にあり、砂丘、湿地、カシワ海岸林の3つの自然景観からなる。海水浴場の指定外となっているが、レジャー客の利用も多いという。
sinkawa3.JPG 山本学芸員は、この場所の変遷を紹介。1669(寛文9)年、「オタルナイ」という地名の初出となり、17世紀、場所制度によって「オタルナイ場所」が開設された。松前藩家臣の氏家家の場所となった。18世紀、入船川河口のクッタルウシに運上屋が移転となり、「オタルナイ場所」の名称が引き継がれた。1886~87(明治19~20)年に、新川が開削された。当初は、小樽内川に合流していたが、1960~65(昭和35~40)年頃に、新川の河口が現在の位置になり、小樽内川は沼として分離した。
 「この新川河口周辺には、様々な貴重な動植物が暮らす自然が残されている。夏はかんかん照りで、風が強く、海岸の塩分が飛んでくる厳しい環境に耐えられる特殊なハマナスやハマエンドウ、ハマヒルガオなどの植物が生きている。ハマナスは、昆虫を誘うためにきれいな色でいい香りを放つ。虫がどんどん近寄ってくるので、だんだん花の形がみったくなくなるが、可愛そうなことではなく本望。ハマナスと虫との関係を見るのも面白い」
 「きれいな場所で、遊びに来る人も多いが、海岸として指定されておらず、ゴミがどんどんたまってしまう。とても残念。せっかく良い自然の場所なのに、本当に残念だ。砂丘の上でバイクやバギーの乗車は禁止されているのに、乗って走る人がいる。道の両側の砂がどんどん崩れていく。石狩市では、積極的に管理している。これが大事。小樽でも考えなければいけない」
sinkawa2.JPG 「銭函から石狩までは、日本最大規模のカシワ林だと思う。カシワの葉を食べて育つ昆虫も多い。この自然が壊されると、動植物たちが逃げ出していく。市民が、意識を持ってきれいな自然を保たなければいけない。この自然は、小樽市以外の人に、小樽の良いところだとPRできるはず。せっかくの自然をいかせる取り組みが出来るようにしたい」
 「2004年から周辺の昆虫の調査を始めて、今年で5年目。1,000~2,000匹の標本を作製した。昆虫は、他の生物に比べて種類・情報量が多く、地域の特徴、他の地域との違いが分かる。街外れにある場所なので、文献が少ないので、自然から得られる地域の情報は大切。この場所は、小樽のはじまりの場所で、小樽市民にとっても特別な場所。どんな歴史を辿ってきたのか、調べていくことが大事。今後も、昆虫などの動植物の調査を進めていく」とまとめた。
 学芸員リレー講座第11講「『オタル』の生まれた場所 新川河口の自然」