荒波に揺れる山田市政 3期10年の折り返し


yamada.jpg 山田勝麿小樽市長は、2007(平成19)年4月22日の市長選挙で3期目の当選を果たし、ちょうど10年目の折り返しとなった、24日(金)11:00から、定例記者会見を開き、この2年間について振り返った。
 「3期目の折り返しを迎えて」と題した所感で、山田市長は、「この2年間の最優先課題であります小樽市の財政再建をマニフェストに掲げ、全庁あげて取り組んできた」としたが、「市の財政は、依然として厳しい状況には変わりはなく、ここ数年が正念場である」と認め、「引き続き、財政再建に努めてまいりたい」とした。
 しかし、3期目の市長選挙のマニフェストで最優先課題に掲げた「財政健全化」では、「平成19年度から単年度収支を黒字に転換し、累積赤字を解消します」と公約していたが、この実現は出来なかった。
 市の財政は、2004(平成16)年度決算で発生した11億7,977万円の赤字から、すでに4年連続で赤字決算・繰上充用を繰り返しており、実質的な財政破綻状態となっている。このため、市は、2007(平成19)年3月に財政健全化計画を策定したが、これも2年連続で見直しせざるを得ない事態となっている。関連記事1 2
 この間、悪化する一方の財政に対し、市の預金である財政基金を全部取り崩したり、企業・特別会計からの繰り入れを繰り返すなど、なりふり構わぬ辻褄合わせを行ってきている。それでも、累積赤字は一向に減らず、市長も「今後の2年間でこの累積赤字は解消することは出来ない」と認めた。
 累積赤字解消は、山田市長が掲げた選挙公約の第一課題だったが、10年間の山田市政で、解消するどころか、12年間でも解消出来ない事態に追い込まれている。
 また、新市立病院の建設をマニフェストに掲げていたが、「病院改革でありますけども、財政再建に大きく影響しますし、市民生活に直結する大きな課題でもあります」として、「老朽化している2つの病院ですけども、2つに分かれていることの非効率性から、やはり医師の確保も難しい現状ではありますので、一日も早くですね、2つの市立病院を統合新築しなければというスタンスは変わっておりません」とスタンスだけを強調し、「そのためにも、まずは、病院改革を着実に実行して、市民の皆さんの期待に応えられる病院にしていかなければならないと考えております」とした。
 3期目の市長選挙では、新市立病院問題が大きな争点となった。山田市長は、築港地区での新病院建設を旗印に、この実現に邁進してきたが、ちょうど任期10年目を迎えた節目の年には、市の機構にあった新市立病院新築準備室を廃止し、新病院建設への夢は閉ざされた。しかし、「一日も早く、2つの市立病院を統合新築しなければというスタンスは変わっておりません」と負け惜しみに終始した。

 病院問題での質問に対し、「残り2年ですから、この中ですべてやるといかないので、今現在、基本計画を中断しましたので、ですからこれをいつ再開出来るか、なんとか任期中に再開できるメドを作りたいなという風には思っておりますけども、一番のネックのひとつは財政再建の問題もありますし、病院の不良債務があります。病院の不良債務は順調にといいますか、予定通り進んでおります。財政再建も黒字幅が増えていますので、問題は21年度が一番大きい山になるかな。その中で、いろんな財政の指標とかですね、健全化の度合いとか、そういうのを見極めた上で、なんとか残りの任期の中でメドをつけられれば。2年の中で累積赤字の解消は難しいでしょう。病院の改革プランの中では、21、22年度が繰り入れのピークですから、21年度が約21億、22年度が19億、こういったものを解消すると、22年度末では、地方財政健全化法に基づく赤字はゼロになる。一般会計の方も、ちょっと予定より前進する見込みですから、最終判断はまだ今出来ませんけども、21年度の決算どうなるか。問題は21年度の地方交付税の問題がどうなるかもあるし、そのあたりを勘案して、21年度の決算見込みがどうなるかで、次の判断をどうするかの問題になる」と答えた。関連記事
 また、任期後半には、「本市には、財政再建や病院問題、旧丸井今井小樽店の再活用、さらには小樽ベイシティ開発の再建など数多くの課題が山積しております」とした。
 任期後半の2年間で、公約違反となるこれらの重要課題が解決する見込みは薄く、荒波に揺れる山田市政の今後2年間は、さらに厳しい前途が待ち構えている。