万が一の救急時にあなたの命を救う手助けになる個人情報を入れた容器を冷蔵庫に保管する「安心カード」の導入が、市内朝里地区で1,600世帯にも広がっている。
「安心カード」は、名前や生年月日、血液型、かかりつけ病院など、救急時に必要最小限の自分の情報を記入して専用容器に入れて冷蔵庫に保管する。
小樽では、昨年9月頃から、朝里地区で導入に向けた準備が始まり、10月には市の防災担当に計画書を提出。その後、最初に導入することになった朝里が丘町会の希望者50世帯に配布した。
「安心カード」を入れる容器は、最初はパスタ入れのプレスチック容器をと考えていたが、それでは大きすぎて冷蔵庫の中で邪魔になるため、試行錯誤の末、100円ショップの片栗粉入れが適当なサイズと、これを採用した。
記入用紙は、パソコンソフトのイラストレーターで作成。各地域の安心カードを参考にしながら、「安心カードなので、赤や黄色と目立つ色では派手すぎる」と淡いピンク色を基調にした。
名前・住所・電話・生年月日・血液型・かかりつけの病院・今かかっている病気・常用している薬・アレルギー・健康保険証番号・緊急連絡先の10項目の枠をつくり、高齢者でも読みやすいように大き目の文字にした。冷蔵庫の扉と容器に貼る赤いハートのシールをつけて完成させた。1個150円だが、各地域では、個人か町内会負担など、対応も様々だ。しかし、安価なことがカード導入の広がりにつながっている。
「阪神災害時でも、冷蔵庫の中は壊れなかったことを聞いた。それに冷蔵庫のない家はないし、絶対に目に入る」と、冷蔵庫内に保管することを決めた。安心カードの情報は、小樽市と警察・消防と共有され、もしもの時に、救急隊員が来ても、いち早く個人の情報を入手し、迅速な対応が取れるとしている。
最初は、朝里地区の1町内会だけの導入から始まったが、今では、全7町内会のうち5町内会でも導入が進み、すでに配布済みの世帯も含めて計1,600世帯に広がった。
また、この取り組みを知った他地域の松ヶ枝や梅が枝町会から、この事業の説明会を開いて欲しいという要望があり、市内でも導入の広がりが見え始めている。美幌など市外からの問合せも増えている。
朝里地区の民生委員は、「ハートマークが冷蔵庫に貼ってあっても、救急隊の人たちは、意識があれば勝手に開けたりはしないので、プライバシーは守られるので安心して欲しい。もしも、本人の意識がなく、誰も連絡が取れる人がいない場合に、これを使うことになる。独居老人宅での使用が多いが、いつだれがどんな時に倒れたりするかは分からないので、子供たちの情報も入れておきたいという人もいる」と話している。
地域の安心・安全を考えたこの「安心カード」を導入した朝里地区の活動は、NHK総合テレビ生活ほっとモーニング(8:35~9:25)でも取り上げられることになっている。放映は、5月27日(水)の予定。