銭函海岸の自然を守る会発足 風力発電の影響訴え


 小樽市銭函地区での風力発電施設計画が浮上したことに伴い、「銭函海岸の自然を愛し、生態系全体を守りたい」と”銭函海岸の自然を守る会”が、7月14日に結成されていた。
 同地区での風力発電計画は、海岸沿いに高さ100mの風力発電機20基を設置するもの。日本風力開発株式会社(東京都港区・塚脇正幸代表取締役社長)が進める。関連記事1
 建設候補地の石狩砂丘(新川河口から石狩湾新港西端まで・銭函4、5丁目)には、ハマナスの咲き乱れる砂丘と沼湿地、海岸カシワ天然林があり、日本では絶滅したと思われていた幻のきのこが生息する。関連記事1 関連記事2
 本社には、9月24日に、「このところ話題になっている銭函風力発電ですが、あの海岸は豊かな生物多様性が維持されている国内でも数少ない海浜性の草原です。あれだけのボリュームの自然環境が残っている事は大変貴重な事です。風力発電の計画が進行していることははなはだ遺憾なことであります」など、環境への影響を懸念するメールが寄せられた。
 ”銭函海岸の自然を守る会”は、北海道自然観察協議会の後藤言行会長と、小樽の日本自然保護協会自然観察指導員資格者20名、野鳥の会小樽支部会員などが集まって結成した。また、札幌の野鳥愛護の会の会員や学識経験者なども賛同している。
 「砂丘地帯に建設される20基の風車は、砂丘に依拠する脆弱でかけがえのない生態系を破壊してしまいます。風車建設がもたらす影響は、砂丘に対する部分的な負荷の増大や野生動物の生育・生息域の縮小などというレベルの問題ではありません。
 銭函海岸の自然を愛し、生態系全体を守りたいと考える私たちは、その思いを持ち寄り、7月14日に銭函海岸の自然を守る会を結成しました。そして多くの皆様に銭函海岸の現状と風力発電施設建設が及ぼす影響を知っていただき、銭函海岸の自然生態系を守る運動にご理解、ご協力をいただきたいとの思いから、『銭函海岸の自然をまるごと残そう』の呼びかけを発表しました」としている。
 同会は、今後、市をはじめ関係機関などの話し合いや、自然観察会、署名活動を行っていくことにしており、会への参加者も募っている。
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