市民が進める妙見川の柳並木再現工事 市役所と大きな落差


myoukensaisei1.jpg ”金欠市役所”の小樽市(山田勝麿市長)が、1,700万円もかけて、自然の川にフタをして暗渠の市営駐車場を造成する「於古発川河川改良工事」の地続きの妙見川(於古発川)で、今度は、市民が自ら協賛金を集めて柳並木を再生させる「第3次妙見川柳並木再現造成工事」が、11月19日(木)から30日(月)まで行われている。

 柳並木再現造成工事は、ボランティア団体「夢の街小樽」(中村全博実行委員長)が、2005(平成17)年からスタートさせた。財政難の市に頼らず、市民から協賛金を集め、堺町通りから山側(約150m)の妙見川沿いの3ブロックの歩道にレンガを敷き詰め、しだれ柳を植え、小樽らしい情緒ある街角景観の再生を目指している。関連記事

 2005(平成17)年と2006(平成18)年には、市民から約380万円の浄財を集め、2ブロックの作業を行い、柳並木を再生させた。2007(平成19)年には、残りの1ブロックの再生を行う予定だったが、協賛金が集まらず造成工事は延期されていた。

 今回、妙見町会から大口の協賛金を得たことなどから、180万円の資金が集まり、3ブロック目の工事に取り掛かるメドがつき工事が開始された。しかし、まだ予定の工事費には達しておらず、同実行委では、さらに市民に協賛金を求めている。

 同所では、11月19日(木)から、レンガを敷くための土台作りや、しだれ柳の植樹工事などが始まっている。28日(土)には、市民ボランティアの協力を得て、歩道にレンガを敷き、柳並木の再現造成の3次工事を終える予定だ。

 同実行委員会では、「妙見川通り再生を市民の手で」と呼びかけている。
「明治後期から昭和初期にかけて、妙見川通りが小樽の中心となっていた。左右には、穀物取引所のある問屋街と銀行街があり、小樽倶楽部、劇場、料亭が軒を並べ、芸者衆が華やかに人力車で往来していた。当時の写真を見ると、妙見川の両岸はしだれ柳の並木道で、日傘を差したゆかた美人がゲタの音を響かせ、まことに経済と文化の花盛りだったと思う。

 この場所、この通りを昔に戻し、景観を作り上げて再生することで小樽の財政再建の一助にしたいと、計画を立案した。岸辺に柳を植え、橋を架け、着物姿の女性がそぞろ歩きを楽しみ、商店街への経済の広がりを図りたいと考えている。丸井今井デパート撤退や観光客の落ち込んでいる現在、小樽の将来を担う子供たちに発展の足がかりを作ることが、大人の責務だと思う」として、市民に協賛金を募っている。問合せ:090-5959-6788(簑谷)
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 市民が街角景観への配慮や将来の子供たちへの責務から、柳並木の再生に苦労しているのに、市役所は、街角景観にはなんの配慮もせず、1,700万円の税金を投入し、この川を再び不粋なコンクリートの暗渠とし、19台分(月額1台1万円)の市営駐車場にする”街角景観改悪工事”を行っている。 同じ場所の同じ川を再生するのに、小樽市役所と市民との取り組みの落差は極めて大きい。この落差を埋めようともせず、強引に川にフタをして暗渠化する、改良工事ならぬ”改悪工事”を進める小樽市役所とは、一体、市民にとってどういう存在なのか。景観行政団体となり、観光都市宣言をしている小樽市のその存在意義が、今、問われている。

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