「絶滅危惧種って何だろう?」 博物館ギャラリートーク


ungakantalk1.jpg 小樽市総合博物館・運河館(色内2)は、12月12日(土)13:30~14:30、開催中の小さな企画展「銭函4・5丁目の自然 今年度の調査から」のギャラリートーク「絶滅危惧種って何だろう?」を行った。
 担当の山本亜生学芸員が、展示物の紹介と、「絶滅危惧種」や「生物多様性」など環境問題のキーワードについて解説した。約20人の市民が会場に集まり、熱心に耳を傾けた。
 「絶滅危惧種」については、「環境省のレッドリストには、人間が発見出来ていない植物や昆虫があり、載せられていないものもある。レッドリストで絶滅危惧と指定されているものだけを残すようにするというのは間違いで、全てのものを大切にしないといけない」と指摘。
 「生物多様性が低下すると環境問題にもつながる。例えば、医薬品の資源にも影響することになる。医薬品は天然のものが多く、植物や動物から作られている。多種多様性が低下すると、この資源が減る」と訴えた。
 展示物の紹介では、「絶滅危惧というのは、かつて当たり前にいたものが、最近の開発などによって少なくなるというケースが多い。日本は湿地に恵まれ、200年前までは石狩平野には広大な湿地が広がっていた。企画展で展示しているイスタヌキモは食虫植物で、世の中にこんな変わった植物があるのかと辞典を見ていたが、まさか住んでいる小樽で見れるとは思わなかった。今年初めて見た」と、銭函4・5丁目に残る貴重な自然を解説。
 最後に、「調査は何年も続けていく。この石狩の場所には湿地が残っており、夏はハマナスの花が咲くきれいな場所で、小樽にもこういった場所があるということを、ぜひ知ってもらいたい」とまとめた。
 質疑応答では、市内在住の男性から、「今、銭函4丁目、5丁目のこの場所で風力発電の建設が計画されているが、学芸員の立場としてどう思っているか」と質問が出た。
 山本学芸員は、「一般論としては、貴重な場所が残っているので、損なわれてはいけないと思う。ただ事業者も対策を考えて進めていると思う。我々が情報を集めて発表することで、この場所にどういった生き物がいるのかといった議論が出来るようになれば」と答えていた。
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