さよなら巡視船「ほろべつ」 最後の勇姿公開  



 今年度で解役する小樽海上保安部(港町5)の潜水指定船「巡視船ほろべつ」(近江修一船長)で、1月23日(土)10:00~14:00、お別れの記念イベント「さよならオープンシップ(一般公開)」が色内ふ頭で行われた。
 1977(昭和52)年1月に稚内海上保安部に就役した同船(495トン)。長さ63.4m、幅7.8m、深さ4.3m。小樽と根室に配属され、大韓航空機撃墜事件や石狩湾新港で韓国貨物船の乗揚げなど、大きな事故・事件に出動し、活躍してきた。昨年12月の苫小牧港でのプレジャーボート転覆事故にも出動した。
 小樽には20年間配属され、同部では、「長年支えていただいた小樽市民をはじめ地域の方々への感謝と定係基地としてきた母港小樽港へのお別れ」として記念イベントを開催し、船内と潜水士の道具、溺者救助訓練を披露した。
 船内公開では、子供連れの家族から学生の団体、海猿の女性ファンなどが、一通り見学したあと、潜水士との記念撮影や懇談を楽しんだ。ボンベ装着体験もあり、重さ20kgのボンベを背負った市民たちは、「うわ、重い」、「すごい」、「こんなの持って泳ぐのは大変」と驚いていた。
 救助訓練では、実際に一人が岸壁から海に落ち、潜水士2人が船首から飛び込んで救助。気温-2℃、水温5.3℃の海に飛び込んだ潜水士は、すぐさま、溺れている人のもとへ向かい、エバックハーネス(救助用縛帯)を装着させ、船首で待機していた隊員との連携で船内へ引き揚げた。
 最後に、ロープを使って、海面から船首へ腕の力だけで登る”登攀(とうはん)”を披露した。岸壁の市民たちからは、「おおすごい」、「さすが」だと歓声が上がり、大きな拍手が送られていた。
 早ければ2月3日(水)には、新たな巡視船が小樽海上保安部に配属の予定となっている。現在の「ほろべつ」は、2月9日(火)に解役となり、競売にかけられる。
 海上保安友の会の日下部隆雄さん(66)は、「釣りが好きで、いつも岸壁からほろべつを見ていた。ほろべつの解役は残念だけど、また新しい船が来てくれる」と話していた。
 巡視船「ほろべつ」解役 さよならオープンシップ (2010/01/12)