ミニチュア人形を語る 文学館「ちまちまギャラリートーク」


timatima1.jpg 小樽文学館(色内1)は、1月23日(土)14:00から、開催中の企画展「ちまちま小樽文壇史+偉人物語展」の会場で、講座「ちまちまギャラリートーク」を開講した。
 同展では、札幌在住のイラストレーター・高山美香さんが作成したユーモラスなミニチュア人形たちを展示している。石原裕次郎、ナンシー梅木、岡本敦郎、榎本武揚など、小樽出身の作家や小樽ゆかりの人物をはじめ、戦国武将や世界の偉人など96点が並ぶ。関連記事
 このちまちま人形は、オーブン粘土「フィモ(fimo)」で形作り、アクリル絵の具で色を付けて完成させる。その人物の人柄が伝わる作品ばかりで、全国でも人気が上昇中。
 会場には70名を超える市内外のファンたちが集まり、高山さんの講演に耳を傾けた。
timatima2.jpg 「人形を作るのに必要な道具は、歯石を取るスパチュラとヘラだけです。たまにカッターも使います。どんな指をしているのと聞かれることもありますが、ほとんどこれだけです。
 オーブン粘土は、100円ショップでも売っていますが、それよりちょっと高いものを使っています。みなさんは、全部形を作ってからオーブンに入れると思っていますが、耳をつけてはオーブンに入れてなど、何回も繰り返しオーブンに入れます。顔だけでも30回入れます」と、実際に粘土で顔の形をちまちま作りながら解説した。
 「たばこは、本物のたばこを使って、葉を少しだけにして紙を丸めて作っています。カバンは、バルサ材で作ってボンドで貼り付けています。使用感を出すために、やすりをかけて古く見せることもしています。材料を色々揃えないと、ちゃんとした人形にはなりません。たたみやプラスチックもあります。メガネのフレームは、ボンドをのばして乾かして固め、色を塗って作ります」と、小物の作り方も紹介。
timatima3.jpg 会場からは、「1つの人形を作る時に、どういう風に情報収集をして、その場面を切り取って作るのか」と質問が出た。
 高山さんは、「一番最初は、写真を見て作ろうと思った。実際に、芥川龍之介の写真を見て作ったのだけれど、全然似てくれなかった。つまらない人形になった。どうしたら良いか悩んだ結果、その人のことを知らないと駄目だと気づき、彼のことを研究している人の本を50~60冊図書館で借りてきた。
 読むのが億劫(おっくう)で、借りたけど4日間放置していた。でも嫌々読んでみたら、すごく面白かった。芥川龍之介は、神経質なイメージがあったが、子供たちが帰ってくる時に風呂桶の中に隠れていたというエピソードがあったり、本を次々に読んだ。読み続けたら、一つの映画を見た感じになって、芥川の大ファンになっていた。
timatima4.jpg 大ファンになってから人形を作ると、表情が芥川龍之介に似てくれた。想像もしていなかった顔になった。これで、人形を作る時には、その人物を知ることが大事だと思った。それから、写真ではなく、まずは資料を借りてくるようになった。
 人形を作る時には、その人物が一番幸せだったところを想像する。でも、多喜二は、どこをとっても可哀相で、どの場面を作るのか悩んだ。ある時、多喜二は、手紙を読み返しながら、相手がどのように感じるかを考えるということを知り、ここが多喜二にとっての最高の幸せな場面だと思って、手紙を読んでいる所を作った」と語った。高山さんの独特の語り口調で、時折、会場からは笑い声が広がっていた。
 企画展「ちまちま小樽文壇史+偉人物語展」は、1月31日(日)まで。入館料一般300円、高校生・市内在住70歳以上150円、中学生以下無料。問合せ:0134-32-2388
 Picasa ウェブ アルバム – 薫 – 小樽ちまちま文豪+偉人(全部)