窓の向こうに小樽港 日銀金融資料館"望楼"ツアー 



 金融資料館(日本銀行旧小樽支店・色内1)の開かずの”秘境”を探る「望楼ツアー」が、2月6日(土)・7日(日)の2日間で行われている。
 旧小樽支店は、赤レンガの東京駅の設計者・辰野金吾らが設計し、1912(明治45)年7月に完成した。屋根には5つのドームを配し、うち4つは飾りで、1つは日本銀行では唯一の”望楼”となっている。建設当時は、”望楼”から小樽港が一望でき、商船の出入り状況を眺めて経済情報を分析していたという。
 この”望楼”の1階(建物3階)は、以前、歴史資料館として公開され、小樽経済の変遷と旧小樽支店の歴史に関する資料を展示していた。しかし、現在は公開されておらず、建物の中の”秘境”となり、開かずの”望楼”として知られていた。
 金融資料館では、開催中の小樽雪あかりの路に併せて、2日間限定で”望楼”ツアーを開催している。1月25日(月)9:00から応募受付をしたが、わずか40分で定員の80人がいっぱいとなる人気だった。
 初日のツアーの第1回目には、市内外の12人が参加した。参加者たちは、2階の会議室で、「螺旋階段のところはかなり急です。明治時代に作ったもので、アメリカ製のものとかガラスが歪んでいたり、レトロな感じです」などとの説明を受け、望楼に上る裏の階段へ。
 ”望楼”に上がると、窓の向こうに、建物と建物の間から青い海が顔を覗かせた。石狩湾越しには、増毛連峰も浮かび、海の街ならではの光景が広がっていた。
 東京の大久保良子さん(57)・辰朗さん(62)は、「建物を見ることが好きで、雪まつりのために北海道に来たが、この望楼ツアーがあることを知り、応募した。何度も電話してようやく申し込むことが出来た。この重厚な建物の中から、海が眺められるのは小樽ならではの景色」と話していた。
 旧小樽支店は、レンガ造りの壁にモルタルを塗った石造り風の外観。銅葺きの屋根とともに銀行建築らしい重厚な印象を与えている。2002(平成14)年9月に営業を停止するまで、地方経済の発展に重要な役割を果たした。同年には市指定有形文化財に指定された。2003(平成15)年 5月からは、金融資料館として無料公開されている。
 日本銀行札幌支店の真鍋隆営業課長は、「定期的にやることは難しいが、将来、またこのように特別に公開したい思う」としている。
 関連記事