済生会の2病院が移転、統合新築を決定 新市立病院建設に影響大

 小樽市内で、2病院事業と福祉・介護施設事業など計5事業を運営している北海道済生会(新谷昌明会長代行)が、小樽病院(梅ヶ枝町8)と西小樽病院(長橋 3)を移転・統合新築し、福祉・介護施設との一体化を進める方針を、このほど正式に決定したことが、本社の調べで分かった。
 社会福祉法人恩賜財団済生会(本部・東京、総裁・寛仁親王殿下 豊田章一郎会長 炭谷茂理事長)は、41都道府県に支部を設置し、現在、81の病院をはじめ、介護老人保健施設、老人・児童福祉施設、訪問介護ステーションなど370施設で、保健・医療・福祉活動に取り組んでいる日本最大の医療グループ。 2011年には創立100周年を迎える。
 北海道済生会は、1924年(大正13年)に小樽診療所を開設、以来86年になる。市内で現在、小樽病院(病床数287)と西小樽病院(病床数100)の 2事業と、重度心身障害児(者)施設「みどりの里」、在宅介護支援センター「はまなす」、居宅介護支援事業所「はまなす」の計5事業を経営し、小樽・北後志地区の中核の公的医療機関としての役割を果たしている。
 同会は、3月18日(木)に、グランドパーク小樽で開いた理事会・評議員会で、2病院の移転・統合新築を進める「北海道済生会基本構想」を承認し、正式に移転・統合新築が決定した。これにより、小樽市内で、医療・福祉・介護の一体的提供を行う新医療機関を整える具体的取組みがスタートすることになった。同会では、近く小樽市医師会や小樽市にも協力要請を行うことにしている。
 「北海道済生会は、地域医療の中で小樽市をはじめ、北後志の医療を担っている立場から、現在の老朽化した狭隘な非耐震構造の建物では、機能面で対応が困難になっている。増加する外来患者を受け入れるスペースや駐車場もない。北後志地区での医療ニーズが高まっているのに、施設面での対応が遅れている。済生会が100周年を迎えることもあり、小樽地区での医療の中核となる新体制を整え、医療・福祉・介護の一体的提供を図っていくため、今後、基本計画から実施計画へと移り、用地選定など具体的な作業を早急に進めていく。小樽の地域医療再生の中で、済生会の役割は大きい。移転・統合新築することで、地域に選ばれ、地域に応える病院として機能をさせていきたい」(櫛引久丸事務部長)と、語っている。
 この済生会の新病院建設が、具体的になったことで、現在小樽市が進め、途中でとん挫している市の新病院建設にも多大な影響を与えることとなる。公的医療機関の済生会が、一向に進まぬ市の新病院建設にしびれを切らし、自ら地域医療再生に手を挙げた格好となった。遅々として進まず、多額の税金を投入する小樽市の新病院建設に、市民からは、さらに厳しい声が挙がるとみられ、市の新病院建設の先行きは、さらに不透明さを増すことになった。
 北海道済生会基本構想(概要版)