小樽開発が破産手続へ 負債は総額80億円


otarukaihatu.jpg 市内稲穂の中心商店街・サンモール一番街に面して建つ商業ビルを所有する「小樽開発株式会社」(岩永政晃社長)が、札幌地裁に破産手続開始申立を16日(金)頃に行うことが、13日(火)に分かった。
 同社の負債は、銀行からの借入や保証金を合わせて総額80億円に上る。ビル維持には年間800万円程度がかかり、「預金が差押えられ、金銭的にも限界で、今後、ビルを任意売却する上で、裁判所にビル管理を委ねる手段しかなくなった」と、4月12日(月)に自己破産する方針を決めた。
 「小樽開発株式会社」は、1988(昭和63)年に発足した。所有するビルは、1990(平成2)年に丸井今井主導で市街地再開発事業として約130億円かけて造られた。地上13階・地下1階建(延べ43,600平米)に、丸井今井小樽店と小樽グランドホテルが入居し、小樽のランドマーク的存在だった。
 しかし、丸井今井の破綻で、2005(平成17)年10月に小樽店は撤退。翌11月には、ビルの地権者であるメガネのタカダ・岩永時計店・スズラン薬局・農協精肉・竹生園などが、ビルとしての価値を維持する目的で、1階・地下1階を使用して「サンモール・ネオ」をオープンさせ、暫定営業を行った。
 同社は、大手デベロッパーとの交渉を進めるため、2008(平成20)年暮れ、地権者に明け渡しを求めた。このため、小樽グランドホテル(竹内恒之社長) が2009(平成21)年2月、サンモール・ネオが同年3月に営業を止めた。ビルの権利を一本化して売却する方針だったが、世界同時不況や小樽市の景気状況の悪化の影響で、買受先や借主が現れないまま時間が経過し、ビルはそのまま空洞化の状態が続くことになった。
 昨年8月には、同社名義の預金が仮差押えとなった。電気使用料、保険料、冬期の水落し、除雪費用など、年間にすると800万円の工面に苦労を強いられる事態に陥った。
 昨秋に、同社の役員改正を行い、西森治美・前社長から、地権者の岩永・現社長に代表が代わった。今年に入り、昨年暮れから話を進めてきたデベロッパーとの交渉が決裂。2月、不動産に抵当権を設定しているプレミア債権回収株式会社が、同社所有の土地建物全ての不動産を競売にかける申立を行い、2月17日、札幌地方裁判所が不動産競売の開始決定を下した。今後は、裁判所がビルの評価を行い、入札額の妥当性を見て、早ければ秋には入札が開始となるという。
 「競売開始決定が下されると、不動産は入札対象となり、競落され、その所有権を失う」と、裁判所・破産管財人の主導・監督のもとで、不動産の管理・換価をしてもらおうと、自己破産することを12日(月)に決め、13日(火)に取引関係者に通告した。
 「任意売却については、地権者・権利者の全員の同意がなければ成立しない。今後は、これまで以上に地権者・権利者が、不動産の任意売却に向けて一丸となる必要がある」(同社)としている。
 2007(平成19)年の選挙で、同ビルの再活用に積極的に取り組みますと公約していた山田勝麿市長は、「小樽開発株式会社から破産手続開始申立を行う方針を決め、その準備を行うこととなった旨の報告がありました。市といたしましては、旧丸井今井小樽店及び旧小樽グランドホテルを中心市街地活性化における重要な拠点として位置づけており、これまでも、丸井今井小樽店跡に商業施設が速やかに出店できるように、北海道に対し、第1種大規模小売店舗立地特例区域の申請を行い、指定を受けるなどの支援を行ってきたところであります。このたび、小樽開発株式会社が示した方針につきましては、残念なことと考えておりますが、市といたしましては、今後の動向を注視しながら、中心市街地の活性化のため、引き続きできる限りの協力をしてまいりたいと考えております」とのコメントを出した。
 市内商店主は、「前向きな破産」。「次のステップには動きやすくなった」。「4年前からそうしていれば良かった」などと話している。
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