再び新病院の基本設計費を可決 市議会第2回定例会 


 小樽市議会第2回定例会は、6月21日(月)、新病院の基本設計費を盛り込んだ2010(平成22)年度一般会計・病院事業会計の補正予算案などの議案14件・報告1件を、全会一致または賛成多数で可決・同意・承認した。
 同定例会には、2010(平成22)年度一般会計補正予算、住宅事業特別会計補正予算、病院事業会計補正予算、職員給与条例改正案など14件と報告1件が上程された。
 この中には、事業費148億円の新病院計画(388床・23診療科)の基本設計費4,300万円、病院事業の不良債務解消のための繰入金4億円などが盛り込まれていた。
 本会議場では、北野義紀(共産)・成田祐樹(無所属)の2議員が、一般会計と病院事業会計の補正予算案に反対討論を行った。
 北野議員は、「わが党は新市立病院建設には賛成です。医師会をはじめ市民の間にある新市立病院問題での疑問を解明し、市民の理解を頂き、また高額な本体工事費削減を求めていく。
 新市立病院の建築工事費は、5月に議員に配布された『新市立病院計画概要』や本定例会の予算特別委員会資料として配布された資料の『基本設計業務委託内容』、『新市立病院の基本設計委託料』などで、本体工事費として96億300万円と明記されています。
 とくに予算特別委員会の資料は、基本設計費額算出根拠は工事費設定と密接不可分の関係であることを実証しています。また工事単価を国立病院機構の仕様にもとづいて1平方メートルあたり30万円、敷地条件に伴う建設費の増加分として、3万円を追加し33万円としています。
 基本設計に関する単価は、国立病院機構の仕様に基づくとしながら、都合の良いところをつまみ食いし国立病院機構の仕様書を事実上無視しているもので認められるものではありません」と指摘し、一般会計と病院事業会計補正予算案に反対した。
 この病院問題で所属していた平成会と意見が分かれ退会し、無所属となった成田議員は、「議案第1号(一般会計補正予算案)、第3号(病院事業会計補正予算案)に対する反対討論をいたします。今定例会の中で一番の議題となった新病院基本設計に関して、賛同できない点が4点あります。1点目に、新病院事業費の試算額が非常に大きく、民間病院に対して著しく高いコストが見込まれているからです。北海道内で最近竣工された札幌鉄道病院が、312床で総事業費60億円で建設されオープンしたそうです。契約形態や手法に色々違いがあっても、ここまで金額に開きがあるほど、本市の場合は特殊な事情にあるのでしょうか。極めて疑問です。
 2点目に、収支計画、起債償還計画が極めて根拠の無い作りであることです。最も良かった場合を載せているに過ぎず、市民がどの程度のリスクを負うことになるのか具体的な提示をしていません。将来の人口動態や患者動向の予測などを全くせずに、強引に良かった場合の計画のみを提示するのは、議会に対し的確な判断をさせない為のやり方としか思えません。
 3点目に医療機関との同意が得られないまま進められたということです。再編ネットワーク化協議会では、医師会などの賛成を得られたと提言しておりましたが、結果的に全く逆の意向を医師会側は示してきました。本会議において結果的に虚偽の報告を各議員にした副市長の責任は極めて重く、議会を軽視していることを指摘せざるを得ません。相次ぐ不祥事、隠蔽体質を露呈している小樽市を本当に信用していいのか、各議員にはもう一度よく考える事をお薦めします。
 4点目に、行政主導で病院計画が進められており、それが極めて不合理を生み出している事です。再編ネットワーク化協議会での十分な話し合いをせずに病床数を今定例会で決定してしまい、見直しもしないと市長が断言した事は、ある意味だまし討ちと言えるやり方です。この手法では到底容認できません。
 新病院の旧量徳小における統合新築自体には賛成し続けています。要はその細部に問題があるのです。もし今回の病院計画が国に認められず起債できなかった場合、小樽市は一気に破綻する可能性が非常に高いからです。起債が出来なかった瞬間に、医師の総引き上げが始まり、新たな補充はほぼ不可能。結果的に多くの病院職員は退職せざるを得ず、退職引当金を積んでないので、退職金負担によって本市は間違いなく財政破綻します。もし起債できたとしても、今回はリスクを何も提示されませんでしたが、経営状態が悪くなった場合に本市の財政に大きな負担をかけるのは間違いありません。極めて重要な問題であり、さらなる議論を必要とします」と反対討論した。
 予算特別委員長(古沢勝則委員長)報告や共産党の反対討論では、与党議員は、全く関心がないのか、議席でコックリ居眠りしていたが、成田議員の討論では目を覚まし、採決でしっかりと起立し賛成した。民主市民連合の山口保議員は、成田議員の討論中に、「破綻なんてする訳ない」、「いい加減にしろ」と、強い口調で一人だけ野次を飛ばしていた。
 最終日の市議会では、予算案・条例改正案・人事案の議案14件と報告1件を、市長提案のまま全会派一致または賛成多数で可決・同意・承認し、閉幕した。
 新病院の築港地区での建設に邁進し、結局、建設中止に追い込まれた市長と市議会与党は、この失敗の経験から何らの教訓も学ばず、再び、巨額の豪華病院を、量徳小用地で建設しようとしている。
 財政的な裏付けもなく、起債の見通しも確かでない中、市民や医師会・医療関係者との合意もないまま、新病院建設に猪突猛進する市長と市議会与党は、前回と同様に何一つ責任を取らぬまま、再び、同じ轍を踏むことになるのだろうか。
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