森山大道「幻の作品」 3会場で写真展


 戦後日本を代表する写真家の一人・森山大道さん(72)の写真展「北海道―第2章/展開 小樽展」が、7月31日(土)から小樽運河プラザ(色内2)・JAZZ喫茶フリーランス(色内2)、8月3日(火)から市立小樽文学館(色内1)の3会場で開かれる。
 森山さんは、1938(昭和13)年大阪生まれ。写真家・岩宮武二、細江英公のアシスタントを経て、1963(昭和38)年からフリーのカメラマンに。カメラ毎日に発表した芸能人シリーズが、日本写真批評家協会賞新人賞。写真集「にっぽん劇場写真帖」や「写真よさようなら」など代表作が多くある。アレ・ブレ・ボケもいとわない臨場感あふれる作品は、写真における新しい歴史を開いたと言われ、海外でも高く評価されている。
 「写真よさようなら」発表後の1978(昭和53)年夏、「写真とは何か」を問い続けた結果、一時スランプに陥った。3ヶ月間北海道に滞在し、何もない部屋に住み、パンをかじりながら、何も考えないで、小樽、札幌を撮り歩いたという。その時撮影した写真は2,000点にも及ぶ。しかし、これらの膨大な写真の数々は、現像されないまま放置され、ダンボールで眠ることになった。
 この北海道滞在が大きな転換期となり、ニューヨークやパリなどで個展を開き、日本写真協会年度賞、毎日芸術賞、ドイツ写真家協会賞などを受賞し、現在も第一線で活躍する。
 今回、森山氏が、30年以上も放置していたスランプ状態で撮り続けた写真を公開することになった。30年前の「幻の作品」と、最近小樽で撮り下ろしたデジタルカメラ・カラープリント作品約100点が、小樽の3会場で展示される。
 市立小樽文学館の玉川薫副館長は、「30年経って現像してみたら、ああ良いではないかと、実際はスランプではなかった。文学館では、森山大道が落ち込んでいた時に撮影した写真とともに、当時の若者のカルチャームーブメントに関する記録と資料を展示し、小樽の熱い夏を背に、さまよう森山大道氏の眼を際立たせたい」としている。
 会場1・小樽運河プラザでは、小樽で撮り下ろした新作カラーの特大プリント125×200cm3点、大プリント100×80cm12点(街人のスナップ) を展示する。7月31日(土)から8月22日(日)09:00~18:00。一般500円、高校生・70歳以上の市内在住者300円、中学生以下無料。8 月8日(日)13:30からは、「森山大道スライド&トークイベント」が行われる。参加費500円。定員100名。詳細
 会場2・市立小樽文学館では、撮り下ろしの特大プリント5点、四つ切サイズの「幻の作品」75点を飾る。オリジナルプリントの展示は初となる。8月3日 (火)から29日(日)09:30~17:00。一般300円、高校生・70歳以上の市内在住者150円、中学生以下無料。詳細
 会場3・JAZZ喫茶フリーランスでは、ニューヨークで撮った写真を展示する。7月31日(土)から8月22日(日)12:00~23:00。入場無料。詳細