街角景観を破壊する小樽市 「於古発川河川"改悪工事"」

 小樽市(山田勝麿市長)は、2009(平成21)年度と2010(平成22)年度の2ヵ年で2,843万円かけ、 寿司屋通りにある市営花穂駐車場(19台・261.25平米)のコンクリート暗渠を剥がし、再びアスファルト舗装して暗渠化する「於古発川河川改良工事」ならぬ”改悪工事”を進めている。
 この於古発川(妙見川)周辺は、市の小樽市景観計画(平成21年4月施行)で、小樽歴史景観区域(131.6ha)とされ、「地区の北側に位置している於古発川沿いは、昔ながらの情緒あふれる雰囲気を醸し出しており、観光客が多く訪れる寿司屋通りへと続いています」と記されている。小樽市景観計画
 天狗山から緑・花園地区を流れ、妙見市場・寿司屋通りの暗渠の下を通って運河に辿り着く。妙見市場と寿司屋通りの暗渠は、1962(昭和37)年の豪雨で妙見川が氾濫したのちの河川改修工事で作られた。瀧の湯温泉(色内1)前の妙見橋から運河までの約500m区間は暗渠にされず、河川の氾濫を防ぐ石積みの堤防が顔を出している。
 かつて小樽郡と高島郡との境界となっており、大正時代に架けられた「たかしまは志」(高島橋)が、当時の姿のまま残っている。市民で作るボランティア団体「小樽夢の街企画」は、「この妙見川(於古発川)沿いに柳を植え、昔の街並みに戻そう」と、市民から浄財を集め、歩道にレンガを敷き詰めて柳を植え、小樽らしい街角景観づくりに取り組んでいる。関連記事
 この市民の活動を知りながらも、財政難の市は、2ヵ年で2,843万円を捻出し、「駐車場として必要性がある」として、1台月10,000円の駐車場 (19台分)の安全確保のためとの理由で、コンクリート暗渠を外して、再びアスファルト舗装で暗渠化する工事を進めている。昨年度は、7台分の工事を行い、同ボランティア団体をはじめ、多くの市民から疑問と批判の声が上がっていた。
 「昨年も批判を聞いて内部で検討をした。無視してやるのではなく理解はしているが、駐車場として必要性がある」(市建設部)として、今年度、残りの12台分の工事を行っている。
 これに対し、市民は、「市民が景観作りに努力しているのに、金のない市役所が、3,000万円の金をポンと出してまた暗渠にするバカなことをしており、本当に悔しい。ポプラ並木を伐ったり、小樽市役所のやることは本当におかしい」と憤っている。
 過去には、河川改修で見事な石積み擁壁を造ったが、現在の市役所は、都市景観をまるで考えもせず、「市民協働のまちづくり」(市長公約)にそっぽを向いて、暗渠を取り外したのち再び無機質なアスファルトの暗渠化を行っている。自ら都市景観を破壊し、無機質な景観を創り出している小樽市の行政が、再び問われている。
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