夜間急病センターの山田副市長発言が波紋 医師会が声明文で反論


 小樽市夜間急病センター(梅ヶ枝町8)問題で、12月16日(木)に開かれた小樽市議会第4回定例会病院調査特別委員会での山田厚副市長の発言が、医療関係者に波紋を広げている。
 波紋を広げているのは、本社が掲載した夜間急病センターに関する山田副市長の「医師会としては、新たな体制にする中で、希望としては併設で引き続きやりたいが、だけども済生会でやりたいと言ってしまうのはあまりにもなんなんで、新たに併設をお願いするとすれば市内の中規模程度の公立病院ないし公的病院が望ましいというのが真意である。済生会だよというのではなく、皆さんにお話しをして、引き続きお願いするとすれば、済生会さんが今現在やっておりますので、医師会としては済生会にお話しをすると、会長から昨日お話しがありました」との発言。
 津田哲哉・小樽市医師会長は、21日(火)、「12月16日(木)の市議会において、中島議員からの小樽市夜間急病センターに関する質問で、山田副市長が小樽市医師会の見解を答弁しておられましたが、私の真意が伝わっておりません。再度ここに小樽市医師会の見解を発表致します。
 済生会小樽病院の移設後の小樽市夜間急病センターの移転(建設)については、市立小樽病院、済生会小樽病院、小樽協会病院、小樽掖済会病院の各公立・公的病院に、設置場所・建設方法・運営方法等についてご意見を伺いたいと考えております。その中で小樽市夜間急病センターは市内に単独で建設する。あるいは、病院に併設する案なのかをお聴きしてみたい。 小樽市医師会は30年以上、小樽市夜間急病センターの運営に携わっており、その経験上から、設置場所は公立・公的病院での併設が最適であり、運営は公設民営化方式が望ましいと考えています。
 新しい小樽市夜間急病センターについては、小樽市医師会が長年運営している立場上、今後の在り方等について話しを進めていきますが、現状は全くの白紙であることを言明します」と、小樽市をはじめ保健所、市議会、報道機関などに声明文を出した。
 現在、同センターを併設する済生会小樽病院の近藤真章院長は、「当院の基本計画では夜間急病センターをくっつけるつもりはない。平成5年から併設してやっているが、外科については朝の07:00~09:00の間が医師不在で、済生会の医師に負担がかかっている。CTを利用する際には、当院の機器を使うので済生会の技師が呼び出される。月20件ほどだ。ガス分析でも、当院の機器を使用するため当直の医師が呼ばれる。担当医が遅れてきたら、『ちょっと遅れるから』と連絡が来て、済生会の医師が補っている。医療者としての使命だけでやってきたが、もうそれは出来ない。併設をするのなら辞めるという医師もいる。一次救急の夜間急病センターでは医師が疲弊する。
 小樽市は、重症の二次救急をやるから一次救急はやらないと言って、何も手伝わないのはおかしい。どこに併設しても難しくその病院の医師が犠牲になる。公的病院に押し付けるのは問題で、二次救急をやるから一次をやらないので市立には併設しないという問題ではなく、公設で運営は医師会だ。市民のために豪華な病院を建てるのに、一次の負担はしないという話しはおかしい」(近藤真章院長)と話す。
 山田副市長は、「私としては、併設するなら市内の中規模程度の公立病院・公的病院が望ましいというのが真意だと言っていると述べたつもりだ。それに、医師会の要望書を受け取った時に話した内容以外のことは言っていないし、その場には保健所長も同席していた」と述べている。
 夜間急病センターを巡っては、医師会・公的病院と小樽市との間で深い溝があり、今度の医師会の声明文で、その認識の差がさらに大きいことが露呈した。医師会は、市の豪華新病院建設に反対しており、夜間急病センターでの確執が大きくなったことで、小樽の医療問題の迷走がさらに続く。
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