市長最後の新年度予算発表 引き継ぐ財源不足


mayor-sinnendo.jpg 今期で引退する山田勝麿小樽市長は、2月16日(水)に記者会見を開き、任期12年最後の予算案となる平成23年度予算を発表した。
 新年度の予算規模は、一般会計551億7,215万円(前年度当初551億6,022万9,000円)、特別会計340億5,055万7,000円(同334億3,271万円)、企業会計234億2,795万3,000円(同225億4,085万9,000円)の総額1,126億5,066万円(同1,111億3,379万8,000円)。
 今回は、改選期で、義務的経費や継続的な事務事業を中心とする骨格予算となるが、「第6次総合計画や行政の持続性を踏まえた対応。限られた予算の中で、経済・雇用対策を実施」として、前年度と比べて15.2億円の1.4%増となった。
 一般会計の収支状況では、市税収入は国勢調査の人口減を反映して地方交付税の減少が見込まれるため、骨格予算ではあるもののすでに財源不足となった。一般財源収入は約336.1億円で、前年比マイナス10.2億円・2.9%となった。特別交付税(予想7.5億円)の計上は留保している。
 歳出に必要な一般財源は約344.9億円で、前年比マイナス10.6億円・3.0%となっている。さらに、今冬の大雪によって除雪費が増えることから8.7億円程度の補正が必要となる可能性が高く、水道事業から8.8億円の借入れで財源不足額を解消し”収支均衡予算”を編成したとしている。
 主要施策として、小中学校の耐震補強大規模改造・通学路改修費(3億3,203万円、新共同調理場土地取得事業費(2億円)、天狗山までの千秋通線などのロードヒーティング更新事業費(1億1,440万円)、オタモイの公営住宅建替事業費(3億234万円)、忍路漁港整備関連事業費(970万円)、新規高等学校卒業者雇用奨励金(1,600万円)などを上げた。新病院の実施設計費を追加補正する。
 新年度予算のほか、2010(平成22)年度の病院事業会計に対し、今年度で不良債務(11億6303万8000円・平成21年度末)を解消するために、一般会計から市税2億9,600万円を新たに投入する補正予算を計上することを明らかにした。これにより、今年度の病院事業に対する一般会計の繰入総額は26億7,600万円に上ることになった。
 これらの議案を審議する小樽市議会第1回定例会は、23日(水)に開会する。
 この議案説明後の質疑応答では、
 -12年間の市長の感想について-
「小樽市は、税収基盤が弱い街で、その中でやってきたが、やっぱり平成16年の交付税の大幅削減があって、そこから苦しみが始まった。人件費カットとか、色々事業の見直しをやってきて表面上の累積赤字を解消出来た感じだが、まだまだやっぱりやりたい事業があったなと思います。厳しい財政状況続くが新しい人に新しい発想で何とかやって欲しい」
 -病院への繰入金について-
「繰入は出しているが、この間もある新聞にもでかく今年は27億入れると出たが、繰入は3つの要素があって、一つは44億の借金を返す繰入、もう一つはルール上交付税措置される繰入、もう一つは病院の経営の赤字分で、ごっちゃにして繰入が全部悪いと言われるが、誤解しないで欲しい。赤字部分をいかに縮小するのか、病院経営にかかっており、しっかり経営してくれればその分赤字分がなくなるので、全部病院に任せている。21年、22年が繰出すピークなんですが、来年はぐっと17億ぐらいに落ちる。不良債務はなくなるが、特例債を借りた返済分は27年度まで続くので引続き繰出金は出る。ですのでその辺は理解して欲しい。全部が全部、病院の放漫経営が繰入につながっているということではない。一番大きいのはやっぱり44億円ですよ。過去のね。これが一番、我々も病院当局にも苦しい。前市長の平成5年から11年までに貸付したためで、私になってからの12年の予算編成からは止めました」
 -12年間で出来なかったのは-
「丸井の問題ね。再開発が中々、市だけで出来る問題じゃないけれどね。あとはウイングベイでしょうね」
 -財政再建に対する思いは-
「やっぱり完全に再建出来た訳ではないが、表面上累積赤字は解消した。財政問題は、職員の給与カットは引き続き継続してやっていってもらいたいと思って削減した予算を組んでいるが、職員も大変だなと思うが、やる事業はたくさんあるので、過疎債を使える状況に来ましたので頑張ってもらいたい」と語った。
 平成23年度予算(案)のポイント
 平成23年度 予算総括表
 平成23年度主要施策等一覧
 病院事業予算