病院評価委の最終会合 市立病院の杜撰な経営が露呈


hospital-keiei.jpg 小樽市立病院経営改革評価委員会(伊藤一委員長)の最終会合が、3月28日(月)18:30から市立小樽病院(若松1)の6階講堂で開かれた。
 伊藤委員長(小樽商科大学商学部教授)と中村利仁副委員長(北海道大学大学院医学研究科助教)から報告書原案が示された。
 報告書要旨では、「両病院の入院機能維持については、深刻な医師不足という条件の中で、概ね満足度も高く、適切な努力が為されている。外来機能については引続き周辺医療機関との調整を検討されたい。ただし、財務面では平成21年度評価では収支悪化によって最終的な達成が厳しい状況に陥っており、平成22年度の進捗状況評価の結果によっては、早ければ平成23年度中にも見直しを検討されたい」とした。
 この中で、「経常収支比率は、小樽病院で未達、医業収支比率は両病院で未達となった。客観的データからその原因を厳密に分析・特定するのは困難である」
 「診療科別の診療圏の拡大・縮小やその占有率等についての外部環境に関する数値目標がなく、未達となった目標数値の分析・評価の上で大きな障害となった。外部環境の視点からの原因分析が行われていないし、出来る環境が整っていない。原因がわからないのに努力の出来ようはずがない」
 「職員給与比率と材料費比率は両病院で未達である」
 「まだ医療職員給与表の導入も為されていなかった」
 「委託業務の見直しについては、地元業者を活用する中でも、安上がりになる場合も見られるという指摘が委員からあった。交渉の工夫と両病院一括契約などについても検討されたい」
 「改革プラン策定からまもなく2年間が経過し、また当初の数値目標の達成は著しく困難な状況にあると考えられることから、平成22年度の結果によっては、早ければ平成23年度にも改革プラン全体の抜本的見直しあるいは全体的な改定を行うことを検討されたい」などの指摘が盛り込まれた。
 これに対し、髙村一郎委員(小樽市医師会広報理事)は、「5年計画の1年目で散々な結果。2つの病院で大きな差がついている。『単に5年経てば出来る』のではなく、きちんとした記述が必要だ。外的環境に逃げているのはおかしい。外的とは何か。新病院の写真とかが出来ているのに、未達が出てくるのでは、プランの達成が厳しい。3回では議論は出来ない。この委員会に疑問を持っている」
 白崎賢治委員(札幌医科大学理事)は、「外的環境のせいにして、目標が未達になっている。最初にエクスキューズを持ってきていると思う市民もいる。外来・入院収益も未達になっているのはしょうがないのだというのは、あまりにもこの委員会の意味がない。市民としてみたら、違和感がある。プロの人が集まって、困難であるという表現があるのはどういうことか疑問に思うだろう。売上げが未達なのに、人件費が減っていない、医薬材料比率も未達」などと指摘した。
 最終会議を受け、小樽市病院局(並木昭義局長)は、「この委員会は、25年度まで、4度重ねていくので、今後、準備を充実させたい。市立病院の健全化、市民のために頑張っていきたい」との原稿を読み上げた。
 今回、委員から出された意見や指摘を追加し、原案を修正した上で、4月以降に市長に手交することにしている。
 この委員会を傍聴していた「小樽市民行政ウオッチの会」の松浦光紀代表は、「22年度の終わりでもう23年度に入るのに、今、21年度のことを改善するような議論はちゃんちゃらおかしい。しかも一番参考にすべき病院の人には緊張感がなかった。時間を掛け過ぎるのは、役所にやる気がないからだ。議論にもあったが、ガイドラインに書いてる書いてないではなく、最初の心がどこにあるかによって違うことだ」と市の姿勢に呆れ果てていた。