旧板谷邸の半分を取り壊し、マンション2号棟建設へ


itaya1.JPG 市内東雲町の高台にある旧板谷邸(海宝楼)の敷地内に、今年2月に、9階建て・高さ25m52戸の賃貸マンションが完成したが、今度は、これに次ぐ、地上6階・地下2階、高さ21mの賃貸マンション61戸の建設計画が明らかになった。
 マンション2号棟となる新築予定の「AMS海宝楼」は、既に建設された賃貸マンションの南側の隣接地に建設を予定している。市道側の塀に建てられた「建築計画のお知らせ」の看板で、鉄筋コンクリート造、地上6階・地下2階、高さ21m、建築面積720㎡、8月15日頃に工事着工の概要が判明した。
 この2号棟の建設に伴い、旧板谷邸の半分が取り壊されることが分かった。
 旧板谷邸は、小樽が生んだ海運王・板谷宮吉(板谷商船の創立者)の邸宅。約5,000平方メートル(約1,500坪)の敷地に、約482平方メートル(約146坪)の和洋折衷の木造2階建。木造の母屋に続き、洋館が併設され、道内有数の大邸宅として知られている。
 1994(平成6)年には市の登録歴史的建造物としていたが、板谷家が、登録抹消を売買条件に、ホテルソニアのオーナー・菅原宝珠氏に売却した。この後、フレンチレストラン、和室の食事処、露店風呂付の入浴施設、石造倉庫を利用した資料館などに大規模に改築され、2005(平成17)年4月に「海宝樓」としてオープン。同年6月に市歴史的建造物に指定された。しかし、客足が思うように伸びず、原油高騰の影響もあり、2007(平成19)年12月24日から休業となった。
 その後、札幌で不動産業を営む菅原氏は、賃貸マンション建設に方針転換し、2011年2月に9階建ての共同住宅を完成させた。既に全部が入居済で、申込待機している人が10人を数えるという。この建物南側隣接地の2号棟建設に伴い、旧板谷邸の半分が取り壊されることになった。
 市は「現在、設計者と話し合っているが、まだ、詳細な図面が出てこない。建物の海側部分に歴建指定部分があり、なるべく残してくれないかとお願いしているところ」(まちづくり推進課)。「看板が立って近所の方から問い合わせがあったが、まだ、建築確認申請は出ていない。歴建の問題で、まちづくり推進課と事前協議していると聞いている」(建築指導課)としている。
 オーナーの菅原宝珠氏は「建物の母屋が老朽化して、修理を重ねても追いつかない状態になっている。これまで1億8,000万円をかけた風呂とそれに続く広間部分を取り壊し、子どもに危険のないごく浅い10㎝位の池を造ることにした。この池に鏡のように新しいマンションが映るとする設計者の意見に従った。防空壕の上に建てることになるので、レンガやセメントがダメになっている防空壕も取り壊すことになる。現在、設計者と市で協議しているが、歴史的建造物部分とされている洋館や玄関、土蔵などは、残すことになる。建物完成後に改めて歴建指定を受けることにする」と話している。
 関連記事
itaya2.JPG