緊急講演会「健康な小樽市を作ろう」 市の慢性的な疾患を指摘


kinkyukouenkai.jpg 小樽商科大学ビジネススクールパブリックマネジメント研究会による緊急講演会「健康な小樽市を作ろう」が、6月7日(火)18:30から民センターマリンホール(色内2)で開かれた。
 この講演会は、市幹部職員による政治資金規正法違反問題を受けて同研究会と小樽市医師連盟が共催し、小樽市医師会・小樽市歯科医師連盟、小樽薬剤師会が後援した。市民をはじめ医療関係者やメディア、市議会議員がつめかけ、400席の会場は満席となった。
 北海道大学公共政策大学院・宮脇淳院長教授は、市幹部職員による政治資金規正法違反問題のポイント、市役所村の体質、公務員組織としての課題、市民との関係について講演した。
 「これは、小樽市だけの問題ではない。他の自治体も何回かやったと思っている人は少なくないと思う。一部の職員を法的に処分して終わったんだということが繰り返されてきた。応答責任が放置されてきた。閉鎖的な村的市役所が放置されてきた。体質を処理しなければまた同じことを繰り返すことになる。法的な受け止めに加え、政策的な応答責任を小樽市全体で考えていくことが必要だ。
 市民は行政を批判したくなるが、批判するだけでは行政が硬直するだけ。市民が参加し、新しいものをつくるチャンスにしなければならない。その方向性に結び付けていく必要がある。風邪や2日酔いの対処は分かるが、慢性的な問題は食生活を改善するとか、診療所に通わなければならない。今までの体質の中で問題を解決するだけでは同じ問題を繰り返すだけ。市民が、市の慢性的な疾患を治療していくことが必要。
 今回の問題は非日常的で4年に1度に行われた問題。選挙で、公務員は中立でないといけないし、市民の判断に影響を与えてはいけない。
 小樽市は改革のチャンス。幹部職員の中には、発見されることの出来ない非効率な問題が山積しているが、そこに気が付けば見直すものがたくさんある。若い職員のやる気、新しいチャレンジをさせるチャンスにきている。
 今日の講演会に、市長や総務部長に来てと呼びかけたと聞いたが、日程で来れないのは仕方ないと思うが、市長や幹部職員がきちんと受け止め、市長が、市民の前に出てこうするんだと市民に投げかけるべき。全ての市民の意見を聞くことは出来ない。色々な意見があるので、市民や議会が、どの意見を重要視しているか判断することが必要。市長に権限があり、議会で多数決で決定する。
 今こそ市長が健康な小樽市を具体的にこうして作ると言わなければならない。市民のみんなと議論していく必要がある。
 政治資金規正法に記述されていると知らなかったとの発言があるが、どう書かれているかが問題ではなく、それ以前の問題。そうでなくて、普通の感覚で公務員の立場で選挙に関わることがいかがかと市民は思っている。悪いことをしたとわかっている人は修正は効くが、意識なく悪いことをする人は修正をすることが難しい。
 市民のみんなが批判するのではなく、市民も自らの意見や考え方を発言し、良い取組みをするために議論する場を持って頂きたい。議会もこれまでの市役所の体質を承知して頂きたい。市民と議会がともに考える必要がある。お互い言っていることを聞き、批判を聞いた上で、次の新しい小樽が生まれてくる。市、議会、市民が、方向性を示して議論を積み重ねていかなければならない」と述べた。
kinkyukouenkai-aiuti.jpg 討論では、小樽商大商ビジネススクール・相内俊一教授が、「行政組織は市民がチェックしないとだめになる」。「パーティー券の問題で、何で批判されているか分からないことが問題。今はちょっとまずいとか、見つかったのが悪いとかじゃない。色々な場面で市民が言って頂くしかない」。「調査特別委員会を設置した市議会が、こういう場に来て議論するべきではないか。オープンな市民とのコミュニケーションの場があっても良いのではないか」と述べた。
kinkyukouenkai-miyawaki.jpg これに対し、宮脇教授は、「行政をおだてて提案し議論することも必要だ」。「攻撃するのではなく、市民が真摯な姿勢の中で伝えると気づきが得られる」。「前の市長の責任もあるが、前の市長から今の市長は引き継いでいるので、自分の責任と感じ政治的な提案をする必要がある。応答責任は組織のトップが受け止めなければならない」。「市議会が皆さんに向かって議論したり、意見を聞いたりしたことがあるのか。今は市民が議会とどう接するか考えていかなければならない。議会の視線は重要」とした。
 会場からの質疑応答では、「市には、業務監査が必要。き然とした勤務評価が必要。なーなー事なかれ主義が問題で、3~4年経つと、管理職は別のところへ行くので、事なかれ主義が目立っている。監査システムを導入する必要がある」。
 「パーティ券問題は、腹立たしい。前の山田市長に責任がある。市民をバカにこいている」
 「議会が市民の意見を聞いてくれるのが当然。選挙する時には良いことばかり、口がすっぱくなるぐらい言うのに、入ったら、市民のことを思っている議員は一人もいない」などの厳しい声が上がった。
 この議会への批判に対し、相内教授が、会場に来ていた市議に意見を求めた。共産党の北野義紀議員が、「市議会の中で党派を超えて議論を始めている。全力で全容解明し、解明されなければ100条委員会を開くことを確認している」。
 一新小樽の中村岩雄議員が、「調査特別委員会には入っていないが、参考になる講演会だった。会派を超えて、市民の目線に立って頑張っていきたい」と述べた。
 相内教授は、「大勢が集まりやすい場所と時間に、市議会がどういう考えで行動しているのかを市民に伝え、市民からの意見を聞くチャンネルを開くことを約束して頂けないか」と出席議員に問い、大半の議員が賛成の挙手をした。
 最後に、宮脇教授は、「議会の関わりがすごく重要で、個々の議員さんも大切だが、議会として市民と向き合うことが必要だ」とまとめた。
 この講演会の内容は、インターネット中継サイトUstream(ユーストリーム)で配信され、現在は録画も流されている。こちら