人間国宝の至芸に感動 野村万作さんの小樽初公演


 狂言の頂点を極めた人間国宝(重要無形文化財指定保持者)の野村万作さん(80)が、8月26日(金)18:30より、小樽の由緒ある能舞台で、初の公演を行った。
 「狂言は、今から600年ほど前、室町時代に能とともに成立した日本特有の伝統芸能で、日常的な事柄のうちに、庶民の誰もが持っている生活感情の機微を洗練された笑いに表現している」とされ、野村万作さんの狂言は、「軽妙洒脱かつ緻密な表現のなかに深い情感を湛える品格ある芸は、狂言の一つの頂点」と評価されている。
 今回は、小樽で、さまざまな形で「能楽」を体感する事業 「能を楽しもうプロジェクト2011」の一環として、旧岡崎家能舞台のある小樽市公会堂で、「おたる狂言堂」人間国宝・野村万作・小樽狂言会として開かれた。150名の席は満員となった。主催は旧岡崎家能舞台を生かす会。
 最初に、同会の三ッ江匡弘会長が、「能に親しむ会が発足して25周年。旧岡崎家能舞台創建85周年という事もあり、これらを記念しての公演。野村万作さんが、小樽で舞うのは初めてのことである。能舞台の再建とは、楽屋が舞台の上階にあり使用しづらく、舞台上手の切戸口が閉じられていて、演技の邪魔になっている。客席が少ないなど、能楽堂としての機能が果たせないでいる。能楽堂の整備再生をして、地域文化興隆の一翼を担い、まちづくりに貢献する事を目指している」 と挨拶。
 野村万作さんは、「中国で公演した時、言葉は通じないけれど、単純な歌の繰り返しが、他国でも通じる事ができたのは、狂言の素晴らしい所でもある。笑い中心の狂言の美しさなどを、大切に、伝統を伝えていきたい。また、古い舞台は温かく、演者と見る人が同じ空気で鑑賞することは、大変素晴らしい事である。今回は、その記念となるような催しである」 と話した。
 この後、夕闇の迫る舞台で、袴狂言「盆山」・狂言「附子」が演じられ、続く「蝸牛」では、人間国宝・野村万作さんの至芸が演じられた。
 夕暮れ時から、夜の帳が下りた頃には、観客たちは、すっかり狂言に吸い込まれ、時折、観客の笑い声が能楽堂に響きわたった。最後には、演者たちに大きな感動の拍手が送られていた。
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