「過去の災害から学ぶ防災セミナー」開く 小樽市総合博物館


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 「地震や津波に備えてあなたは何をしますか?過去の災害から学ぶ」が、9月3日(土)10:00から11:30、運河プラザ三番庫で開かれた。参加者は20名。講師は定池祐希氏。専門分野は、災害社会学・地域社会学・防災教育で、北海道大学大学院理学研究院附属地震火山観測センター助教。
 初めに小樽市総合博物館・青木良英館長が、「東日本大震災で多くのものが失われ、岩手の陸前高田の博物館では6名の職員が亡くなり、同じ博物館の職員として何ができるかを考える中で、市民の意識を高め、防災について実践的に考えたい」と述べた。
 定池氏は、生活に密着した防災について、奥尻での震災の経験から、「地震の後、津波が来る事を話していれば助けられたかもしれない」と痛感し、語る事で人の役にたちたいと思い、災害社会学を学んだという。東日本大震災の被災地を歩き、定池氏が写した悲惨な光景の写真がスクリーンに写し出された。
 「50日後も何も変わらない状態。津波で運ばれたカキがそのまま。陸前高田市の博物館の資料が流され、洗浄の手伝いをした。町並みが綺麗になっても、歴史の資料がないという事は、残念な事である。8月8日に、大船渡市大船渡町へ行き、半年経っても震災が起きたままの状態で、被災地域があまりにも広範囲な事に衝撃を受けた。報道されない被災地が沢山ある。そこで、助かった後の生活をどのようにしたらよいのか、今からの備えが必要だと考え、自分達の町で活かす事を見つけ、被災地に思いを持ちながら、できる事は何か」と問いかけた。
bosaiseminar2.jpg 「大きな地震が起きた。避難所へ行く時、ペット(ゴールデンレトリバー・メス3歳)を連れていくかどうか?」の問いには、参加者から「ペットを持つ人が増え、これは、大事な問題だと思う。今の状況では連れていくことは難しく、置いて行くしかない」、「まずは連れて行く」と答えた人に分かれた。イヌが苦手な人やアレルギーの人がいるかもしれない。ネコだったら、ハムスターだったらと、ペット対策を考えるきっかけにもなった。
 さらに、「防災活動がなくても地域のつながりがあれば、見えないところで防災につながっている。いつものイベントの中で見つけられる防災もある。小樽は、防災に強い町になれるかもしれない。このようにしてくださいと教えるのではなく、小樽で生活しているみなさんが、将来、地震などの災害に遭遇した場合に、直面する問題に気付き、生活者・市民の視点で考えるきっかけになれば良い」とした。
 聞き手の小樽市総合博物館・大鐘卓哉学芸員は、「小樽は古い町で、海に面していて津波に弱い。日本海側は、太平洋側より地震の対策が進んでいないようなイメージだが、小樽のみなさんの地域との密接な関係が小樽の強み。地域のつながりを深めて欲しい。いろいろなことを想定する事が日頃の備えになる」と話した。
 現在、「過去の災害から学ぶー小樽における地震と津波」が、小樽市総合博物館(2階回廊)で開催中。過去の事例を検証し、災害に対する備えをパネルで紹介している。9月25日(日)まで。