秋のおたる水族館は面白い



 おたる水族館(祝津)では、道内初展示「ウシバナトビエイ」と秋の特別展のイベントが9月17日(土)から始まった。
 館内1階海のパノラマ水槽に展示した「ウシバナトビエイ」の捕獲地は沖縄県で、体長60cm〜70cmの子どものエイ。水槽内では、大きなエイが堂々と泳ぐ中、子どもエイ8尾が群で泳ぐ姿がかわいらしい。頭には頭鰭(とうき)と呼ばれる特殊なヒレがあり、海底のえさを探すために使われ、貝類・甲殻類を見つけて食べる。腹面から見た形が、牛の鼻に似ている事が名前の由来。
 秋の特別展「食欲の秋・芸術の秋」は、海の生き物を通して、生きるために不可欠な「食」についての展示や、青い海、きらめく水面、美しい魚たちなど、真似できないアートというべき美しい事象を作り出している、自然の恵みに感謝の意を込めて開催している。
 9月17日(土)から11月30日(水)まで、館内1階海のパノラマ水槽前では、メガネカスベ・ミズダコ・カジカなどを展示し、産地や漁獲方法、調理方法や漁師さん、市場の人の声、ホテルのシェフがレシピを紹介した「北海道食の水槽」が行われ、日本庭園に感じる「和の美」をテーマにした「二本イシガメと苔生す水槽」や、角型の(120cm×120cm)ドーナツ水槽の中に熱帯魚とサンゴのコラボ水槽で、水槽の中央部には人が入る事ができ、360度観覧できる「アート水槽」を展示している。 土日祝日は、海獣公園で販売している餌を大盛りに、1日30個まて限定500円にて販売。2階では、知床の美しい自然写真展も行われている。
 9月17日(土)・18日(日)・19日(月)の3日間11:00〜12:00と14:00〜16:00に、館内2階では、和歌山産の選別前のちりめんじゃこを用意し、タコ・エビ・タツノオトシゴ・カニの幼生をルーぺやピンセットで探し出す「ちりめんモンスターをさがせ!」を開催。ちりめんじゃこは、カタクチイワシの稚魚でゆで干したもの。DHA・EPA・カルシウム・ビタミンB2などが含まれている。
 飼育部三宅教平さんの説明後、参加者は、真剣な様子で小さなモンスター見つけていた。札幌から来た三崎かずみさんとゆうたろう君(5歳)親子は、「以前食べた時に見つけた事がある。水族館でポスターを見たとき、子どもに参加させたいと思った。沢山見つけて楽しかった。家で食べる時、こんなに入っていたら楽しいでしょうね」と笑顔だった。
 正面玄関横の園地では、9月17日(土)・18日(日)・19日(月)13:00〜13:30に、日本の「くさや」「鮒寿司」、また、世界一臭い「シュールストレミング」(北欧のニシンの缶詰)を開封して臭いを体験する「世界一臭い魚の缶詰のニオイをかいでみよう!」を開催。
 「シュールストレミング」は、主にスウェーデンで食べられ、ニシンを塩漬けにして、缶の中で発酵させた食品。発酵途中のニシンを缶に詰めるため、詰めた後も発酵が継続し、発生したガス(二酸化炭素など)によって、缶がラグビーボール状に膨れ上がる。開封した瞬間にガスと共に強烈な臭いを放つ。
 あいにくの雨の中、飼育部の佐々木裕輔さんが防護服と防護マスクの完全防備で、初めに「くさや」を取り出したが、参加者はそうでもない反応。次の「鮒寿司」は、バーナーで焼くと独特の臭いを放った。その後、メインイベントのシュールストレミング。テントから少し離れた所で、缶が開けられた瞬間、嗅いだことのないような臭いが風に乗って漂った。牧場の臭い、古い本を濡らしたような臭い、どう表現して良いのか分らない臭い。時間が経っても忘れる事の出来ない臭いだった。
 総務部・川尻孝朗さんは、「天気が良く風も無かったら、もっと臭かったのでは。くさや、鮒寿司、シュールストレミングと段階を踏んでおもしろおかしく体験し、参加者も楽しく良かったのでは・・・」と話した。
 これからのイベントとして、祝津の漁師さんの協力で、小中学生を対象に、海獣公園内で、9月23日(金)、24日(土)、25日(日)11:30〜12:00で、「地引網を引こう!」を行い、地引網で捕れた生物は、特別展「とったぞー水槽!」で展示する。
 10月1日からは、透明なアクリルの板を利用した空間に、滝のような光景を再現したオブジェ「ウォータフォール」を展示。また、10月15日(土)、16日(日)には、海獣公園内アゴヒゲアザラシプール向かいのコンクリート壁面に、アクリル絵の具や油性マジックで描く「壁にアザラシの絵を描こう!」、10月22日(土)、23日(日)に海獣公園内海岸で採取した石に、想像力を働かせ海の生き物を描く「海岸でひろった石に海の動物の絵を描いてみよう!」を開催。どちらも10:00〜16:00。
 おたる水族館HP